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芝1800mを“狙ってきた”2頭のワンツー決着になった
文/編集部(T)、写真/小金井邦祥


かつてのラジオNIKKEI賞(ラジオたんぱ賞)は、クラシック路線で結果を残すことができなかった馬や、賞金面などで出走が叶わなかった馬が集まることで、“残念ダービー”とも呼ばれていた。

しかし、そう言われたのはだいぶ昔の話になっている。実際、ハンデ戦となった06年以降の勝ち馬は、いずれもクラシックどころか、G1にすら出走経験がなかった馬だった。クラシックに出走できるほどの実績を重ねた馬が重いハンデを課せられて敗れ、まだ実績に乏しい素質馬が勝ち切る……というパターンが多かったということなのだろう。

ただ、近年はそういう傾向が理解されてきたのか、今年のメンバーに至ってはクラシック出走経験があるのがケイティクレバー(皐月賞⑪着)だけになった。実績面でハンデを付けづらくなったことで、ここはハンデキャッパーの方の腕の見せ所だろう(笑)。

もうひとつ、メンバーを見て特徴的だと感じたことがあった。それは芝1800m実績で、出走メンバー13頭のうち、芝1800mで勝ち鞍があった馬が8頭いて、そのうち7頭が芝1800mで勝率100%という馬だった。

3歳戦はまだ戦績が少なく、陣営の意図が想像しやすい。ラジオNIKKEI賞は、ここを目標にしてきた馬が集まるレースに変貌を遂げたということなのだろう。

そんなレースで、1番人気に推されたのがフィエールマン。過去10年ですべて勝利している父サンデー系、中でも4勝しているディープインパクト産駒。過去10年で6勝のハンデ54kg、大きく出遅れながら差し切って2馬身半差を付けた前走の山藤賞と、あらゆる面から見て納得の1番人気だ。

一方2番人気のメイショウテッコン。前走で白百合S(OP特別)を制したこともあって、ハンデはトップタイの56kg。過去10年のトップハンデ馬は[1.1.0.12]とそこまで芳しくない上に、同じ逃げ脚質のキボウノダイチが53kgだけに、テンのダッシュが鈍って行き切れないとどうか……など、気になる点はそれなりにあった。

そして、予想通りというか、メイショウテッコンもそれなりのスタートを切ったが、キボウノダイチがダッシュ良く先頭へ。メイショウテッコンは好位のインに付ける形になり、前走と違う形を強いられることになった。

しかし、前走に続いてメイショウテッコンの鞍上を務めた松山騎手は落ち着いていた。好位で懸命になだめながら道中をやり過ごすと、勝負所で外に持ち出して前との差を詰め、直線半ばで粘るキボウノダイチを交わすと、後方から差し込んできたフィエールマンの追撃も振り切ってみせた。

斤量が増えるとダッシュ力は鈍るが、トップスピードは変わらないという話を聞いたことがある。フィエールマンの追撃をギリギリで振り切ったのは、道中の運びや仕掛け所のタイミングがピッタリだったことの証拠だろう。

前述したように、過去10年でトップハンデを背負いながら勝った馬は1頭だけで、それが2015年のアンビシャス。同馬は後に15~16年天皇賞・秋で⑤④着、17年大阪杯で⑤着、オーストラリア移籍後にG1②着の実績を残している。トップハンデで勝ち切ったことの価値は高いはずで、メイショウテッコンが今後どんな活躍を見せてくれるか、楽しみになったのは間違いないだろう。

一方のフィエールマンは、前走に続いての出遅れ、勝負所で大外を通ってかなりの距離ロスを強いられながら、直線で猛然と追い込んで半馬身差まで詰めた。ハンデ54kgということを踏まえても、この内容はやはり評価すべきだろう。

前半1000m通過は58秒7で、これは福島での過去10年でも2番目に速い。それでも逃げたキボウノダイチが③着に残り、4角3番手のメイショウテッコンが勝利したのだから、時計が出やすい馬場なのは間違いないだろう。そんな中で差し込んできたフィエールマンも、やはり強い。

前述したように、今回は芝1800mに実績がある馬が集結する形になったが、その中でもこの距離で2勝していたのはメイショウテッコンフィエールマンの2頭だけ。結果的に、芝1800mで実績上位だった2頭がワンツーする形になったのは、偶然ではないような気もする。今後この傾向が続くのか、注目してみたいと思う。

このレースはいわゆる非根幹距離のレースだけに、G1戦線に向けては他の距離でどうか、という点がポイントになる。とはいえメイショウテッコンマンハッタンカフェ産駒で、すでに芝2400mで勝ち鞍があるし、フィエールマンの母リュヌドールは芝2500mの重賞勝ちや、ジャパンCに出走した実績もある(04年⑦着)。この2頭が菊花賞で揃って上位を争っても不思議はないように思えるが……どうだろうか!?