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超ダークホースが上がり38秒6のバテ合戦を制して重賞初勝利
文/出川塁、写真/小金井邦祥


ズブズブの差し決着となった今年の七夕賞をを見て、懐かしい気分になったファンは少なくないだろう。福島開催が2週繰り上がる前、最終週に行なわれていた頃は馬場が荒れやすく、外差しがよく決まっていたものだ。近いところでは、07年のサンバレンティンや12年のアスカクリチャンあたりを思い出す。

しかし、2週目の開催となった13年以降、差し馬が上位を占める結果はあまり見られなくなった。過去5年ではアルバートドックが制した16年ぐらいのもので、この年は前半1000m通過が57秒9とハイペースだった。今年も、驚異的なレコードが記録された直前のプロキオンSに触発されたわけではないだろうが、前半通過が58秒2。発走時点で良まで回復していたとはいえ、午前中は稍重で行なわれていた馬場状態を考慮すれば、16年以上のハイペースと考えてもいいかもしれない。

この流れを生み出したのが逃げたマイネルミラノだ。2ハロン目で10秒8とダッシュをかけると、3ハロン目でも11秒2と飛ばしたまま1コーナーに突っ込んでいく。そこからの600mも12秒0、11秒8、11秒9とまったく息を入れるところがなく、すぐ後ろには3頭がすぐについてきている。そのうちの1頭のシルクドリーマーは7ヵ月ぶりで息ができていなかったのだろうか、向こう正面に入ったあたりで早くも後退しはじめるほどだった。

もっとも、他馬も事情は似たようなもので、3コーナーに差し掛かるあたりでは大半のジョッキーの手が動いている。4コーナーではムチが飛んでいる馬も少なくない。仕掛けが早くなりがちな小回りコースとはいえ、最近では珍しい光景だ。まるで昭和の競馬のような展開のレースが、平成最後の七夕賞では繰り広げられることとなった。

と、ここでアクシデントが発生する。3~4コーナーの中間で行き場を失った3番人気のプラチナムバレットが落馬してしまったのである。本稿執筆時点ではJRAホームページにまだ情報が上がっていないが、とにかく人馬ともに無事を願うばかりだ(その後のJRA発表では、馬は異状なし、岩崎騎手は頭部・顔面外傷で福島市内の病院に搬送)。

馬群は4コーナーを回って最後の直線へ。逃げたマイネルミラノはすぐに一杯となり、終始2番手を追走していたワンブレスアウェイが先頭をうかがうものの、ジリジリとしか伸びない。早めにマクった1番人気のサーブルオールも同様に伸びを欠いている。

そこに外から突っ込んできたのが、メドウラークマイネルサージュだ。仕掛けをワンテンポ遅らせたことが功を奏し、残り200mを切ってこの2頭が馬群から抜け出す。そして最後はメドウラークがクビ差をつけてゴールイン。11番人気、単勝100.8倍の超ダークホースが上がり38秒6のバテ合戦を制して重賞初勝利を飾った。

③着にも最低人気のパワーポケットが入り、2頭だけいた単勝100倍以上の馬がいずれも馬券圏内に食い込んだことで、3連単は256万馬券の大波乱となった。同馬は障害から平地に戻って3戦目で、前2走はいずれも準オープンで⑧着。50キロの軽ハンデとはいえ、これではさすがに手を出しづらかった。

ただ、先月のオープン特別・米子Sで障害帰りのベステンダンクが5馬身差の圧勝。前日にはオジュウチョウサンが同じ福島で平地初勝利を挙げたことも大きな話題となったばかりだった。それでもパワーポケットに手を出しづらいのは変わらないのだが、この流れは侮れない。特に道悪などスタミナを要する馬場になったときなどは、障害帰りの馬に注目してもいいかもしれない。

一方、人気を集めたハービンジャー2騎は、1番人気のサーブルオールが馬券圏内に届かない④着、2番人気のレイホーロマンスも掲示板にあと一歩の⑥着と、煮え切らない結果に終わってしまった。もう1頭の産駒マイネルサージュが②着を確保したとはいえ、コーナー4つの2000m、時計が出ない馬場、上がりのかかる展開と、これ以上ない絶好の条件が揃っただけに、落胆しているハービンジャーマニアだけではないだろう。

心は早くも小倉記念。過去3年連続でハービンジャー産駒が②着にとどまり、マニアにとっては勝利が悲願となっている。関東馬のサーブルオールマイネルサージュは出走しないようにも思うが、関西馬のレイホーロマンスには巻き返しを大いに期待したい。