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将来には芦毛を代表する短距離王となってほしい
文/編集部

四位騎手がテンから押してハナに立ったサープラスシンガーは、前半3Fを33秒6で通過。レースを見ていた時は、直線半ばほどまで、サープラスシンガーが押し切るかとも思えたが、現在の京都の芝状態を考えれば、かなり速いペースだったのだろう。残り50mほどで飲み込まれ、結果的には中団~後方にいた馬が上位を占めることとなった。

直線で外目から、斬れ味鋭く差して来たのがアーバンストリート。芦毛の白い馬体をなびかせ、気持ちよく伸びて来るこの馬の姿を見ていたら、なんだかすごく懐かしいような、あるいはなんだかすごく珍しいものを見ているような思いが湧いてきた。

それはたぶん、白い馬体に何か感じるものがあったのだろう。「芝短距離重賞を勝った芦毛の馬って、昔はどんな馬がいたんだっけ?」と思い、レース後に改めて調べてみたら、アーバンストリートと同様、「古馬になってから芝1200mの重賞を勝った馬」が、そもそもかなり少ないということに気づかされた。

過去20年さかのぼってみても、4歳以降になって芝1200mの重賞を勝った芦毛の馬は、97年にシルクロードSを勝ったエイシンバーリン02年に阪急杯を勝ったアドマイヤコジーンという、たった2頭しかいない。アーバンストリートのシルクロードS制覇は、毛色から考えれば、非常に珍しい勝利だったということになる。

エイシンバーリンアドマイヤコジーンは、ともに父コジーン(グレイソヴリン系)で、脚質は逃げ・先行アーバンストリートは、父スウェプトオーヴァーボード(ミスプロ系)で追い込み型。血統も脚質も、ずいぶん違う。

しかし、芦毛の短距離重賞勝ち馬には、「他馬をなぎ倒すような豪快さ。その一方で、良い時と悪い時の差が極端で、ガラス細工のような脆さ」という、共通したイメージを感じるのは、自分だけだろうか。マイル重賞勝ち馬も入れて、オグリキャップホクトヘリオススキーパラダイスといった面々も紹介すれば、もう少し伝わるかもしれない。

エイシンバーリンアドマイヤコジーンは、先述の芝1200mの重賞を勝った次走でともにG1の高松宮記念(旧・高松宮杯)を走り、②着に好走。3歳以降で重賞初出走→重賞初制覇と、勢いに乗るアーバンストリートも、同様の期待を抱かせるが、できることならもっと広い意味で、願ってみたいことがある。

エイシンバーリンシルクロードSを勝った97年、高松宮杯を勝ったのがシンコウキングで、スプリンターズSを勝ったのがタイキシャトルアドマイヤコジーン阪急杯を勝った02年、高松宮杯を勝ったのがショウナンカンプで、スプリンターズSを勝ったのがビリーヴ。馬名を見てどう感じただろうか。スプリント路線は、現在より明らかに役者が揃っていたように思えてならない。

スプリント路線の層の薄さが叫ばれ始めて、もうずいぶん長くなるような気がする。アーバンストリートはまだ重賞初制覇で、あまり過度な期待はかわいそうな気もするが、しかし一方で、フレッシュな存在だからこそ、できることもあるように思う。

アーバンストリートにはぜひ、近い将来、この路線を盛り上げる牽引役の1頭となってほしい。そして、そういった状況の中、芦毛の短距離馬から想起させる「他馬をなぎ倒すような豪快さ」で、タイトルを総ナメするような活躍をしてくれれば最高だ。

ちなみに、アーバンストリートの父の「スウェプトオーヴァーボード」は、カジノなどで使われるギャンブル用語で、「親の総取り」とか「ひとり勝ち」を指し、「ボードの上にあるチップをひとり占めにする」といったような意味になる。何か意味ありげに感じるのは、気のせいだろうか。

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