勢いだけでは覆し切れない『格』があるのだろう
文/編集部
別定G2戦とは、本来、こうあるべきなのだろうか。今年の
京都記念は、競走馬の
『格』なるものを見せつけられる結果となった。
アドマイヤオーラが出走直前で
除外となり、1番人気に推された
サクラメガワンダーの単勝オッズは
1.8倍になった。
12月6日の鳴尾記念以来、2ヶ月半ぶりのレースだったが、そんな休み明けの不安よりも、信頼に足る近走成績を収めている実績馬が他におらず、
「勝つのはどれか?と言われたら……サクラメガワンダーかなあ」という人が多数を占めた結果と思われる。
その単勝人気通りに、
サクラメガワンダーは最後の直線で外から伸びてきた。先に抜け出した
アサクサキングスを、一旦は交わしたかに見えた。
しかし、そこから
アサクサキングスがもう一度盛り返し、結局、2頭の間に生じたクビ差がそのまま保たれ、ゴールまで続くことになった。
戦前、
サクラメガワンダーに存在した不安点としては、
休み明けと、
G1&G2では連対歴がないことが挙げられた。ただ、
アドマイヤムーンを破ったこともある馬で、
昨夏の宝塚記念でも
僅差の4着になっているし、
鳴尾記念の勝ちっぷりを見ても、今さらG2が壁になることもないだろうと思われた。
ところが。
G2の壁ではないのだろうが、
G1馬の迫力に気圧されるような結果となった。
アサクサキングスと
サクラメガワンダーの間にあったクビ差には、目には見えない
『格の違い』を感じさせられた。競走馬には、勢いだけでは覆し切れない
『格』があるのだろう。
3着には、これも
G1馬である
ヴィクトリーが入り、4着にも
G1・2勝の
カワカミプリンセスが入線。5着には、休み明けながら
G2・2勝の
タスカータソルテが追い込んだことで、結局、掲示板内は
サクラメガワンダー以外が
G1orG2勝ち馬が占めることになった。
G3勝ちがあって
前走ではOP特別(万葉S)で2着になっていた
マンハッタンスカイは粘り切れず
6着、
3連勝中だった上がり馬の
チョウサンデイは
10着。まるで、活きの良い新入幕力士や前頭の関取が、休場明けの大関や横綱に跳ね返されたかのようだった。
果たして、今年のこの結果はどう受け取ればいいのだろう? いろんな報道を見ると、
アサクサキングスに対して
「復活」という文字を使っているところはあまり見られなかった。マスコミ、競馬ファンともに、まだ懐疑的な気持ちがあるのだろう。
かつてのG1馬がその後に不振に陥り、別定G2の勝利をきっかけにして再びG1タイトルを手にした例としては、
メイショウサムソンが挙げられる。
メイショウサムソンは
ダービーを勝った後に
4連敗を喫し、4歳初戦を
大阪杯(別定G2)で走ってこれを勝利した後、次走の
天皇賞・春も制した。
思えば、
大阪杯は
G3・1勝の
シャドウゲイトを半馬身差で競り落とし、
天皇賞・春も重賞勝ちのなかった
エリモエクスパイアとの叩き合いをハナ差制したものだった。
叩き合いでの強さを見せるあたり、
メイショウサムソンと
アサクサキングスは似ている面があるが(ともに
ダンシングブレーヴの血を引いている)、
アサクサキングスもこの後に
G1を勝利し、真の
「復活」と言われる日が来るだろうか。
例として
メイショウサムソンを挙げたことには、
アサクサキングスと血統的に似ている部分があることもあるが、実は、
メイショウサムソン以降、G1馬が別定G2での勝利をきっかけに再びG1を勝った例がない、という側面もある。
むしろ、そういったかつてのG1馬の復活よりも、最近は、
別定G2を制した勢いでG1馬にまで上り詰める例の方が多い。
例えば、
昨年の天皇賞・春を制した
アドマイヤジュピタは、
阪神大賞典(別定G2)を勝利し、次走で
天皇賞・春を勝った。
エイジアンウインズは
阪神牝馬S(別定G2)で重賞初勝利を飾り、次走の
ヴィクトリアマイルを快勝している。
宝塚記念を勝った
エイシンデピュティも、
金鯱賞(別定G2)→
宝塚記念という連勝でのG1制覇だった。
最近のこのような例を見ると、今回の
サクラメガワンダーも
アサクサキングスを交わし去っていれば、
G1への光が見えたと言えたのかもしれない。逆に跳ね返されたということは、もう少し修行が必要ということか。
アサクサキングスは
シンガポール航空国際C、
サクラメガワンダーは香港の
Qエリザベス二世Cと、それぞれ
海外G1の名前も挙がっているが、果たして海外G1では
『格』がどうなるか。出走する時には、そのレースぶりと
『格』の有無を確認したいものだ。
それにしても、最近の別定G2は一筋縄では収まらないケースが多い。昨年以降、今回の
京都記念で別定G2は
18レースが行われているが、そのうち3着以内を
1~5番人気が占めたケースは
2回しかない(
08年の
阪神大賞典と
日経賞)。
波乱を生んでいるのは、
上がり馬だったり、
G1&G2実績馬だったり、その時々によって違うのだが、ひとまず馬券を買う側は、
「別定G2だから実力通りで決まりやすい」と考えるのはやめた方がいいかもしれない。次週の
中山記念(別定G2)も、
ちょい荒れ期待で臨んでいいんじゃないでしょうかね。