親子は似るものだが、まさか所有馬も……?
文/編集部
「開幕週は前有利」とは、もはや今さらなフレーズだが、このレースもこの格言を地で行くような結果となった。ダッシュよく飛び出した最内枠の
ダブルウェッジが先頭に立つ勢いだったが、外の
マイネルエルフと、さらにその外から交わして行った
ジョーメテオに譲って3番手から。1戦1勝で1番人気の
アイアンルックは後方から、ダートで4戦4勝の2番人気
スーニは
ダブルウェッジを見る位置でレースを進める。
そのままの隊列でレースが進み、直線に向いて早めに
ジョーメテオを交わして先頭に立った
マイネルエルフを外から
ダブルウェッジが交わし、そのまま2頭が後続の追撃を振り切った。3着は後方から伸びた3番人気
ミッキーパンプキン。
アイアンルックもいい脚で伸びたが4着止まり、
スーニはまったく伸びずブービーの12着に終わった。
鞍上の
小牧騎手は
「直線は手応えほど伸びなかった」、
「まだ成長途上」など、およそ勝った馬とは思えないコメントを残した。それでもやはり勝ってしまうところは実力の証明だろうが、この日の芝レースはすべて
先行馬が勝ったように、2着馬も含めて
前有利の馬場も勝因のひとつだろう。
ダブルウェッジの馬主である
深見富朗氏は、昨年のダービー馬
ディープスカイの馬主である
深見敏男氏の父。昨年のこのレースで
ディープスカイは10番人気で3着に好走したが、ここでは
「父の貫禄」を見せつけた形になった。
そういえば、
ダブルウェッジも
シンザン記念で2着するまでは
1勝2着3回でもどかしいレースが続き、
ディープスカイも初勝利を挙げるまで
2着3回と惜敗が続いていた。
親子は似るものだが、まさか
所有馬も……?
ダブルウェッジは父がスプリンターズS勝ち馬
マイネルラヴなので距離が微妙だが、今後、
NHKマイルCを目標とする可能性は十分だろう。96年に創設されたこのレースは、馬の親仔制覇はまだないが、それより先に
人の
「親子制覇」が達成されるかもしれない。
最後に、ダートで4戦4勝と圧勝続きで、ここでも2番人気と注目された
スーニは、3コーナーですでに手応えが怪しくなり、直線でも伸びずブービーの12着に敗れた。
内田博幸騎手は
「流れには乗れていたが、芝は合わない」と振り返った。
スーニの今後は未定だが、
ダートに戻れば世代最強の称号はまだまだ揺るがないはず。先週の
フェブラリーSを勝った
サクセスブロッケンもダート無敗で臨んだ初芝のダービーでシンガリ負けを喫していた。
スーニが今後、ダートに戻って圧勝を続けるとすれば、これも
「似たもの同士」となるかも。