時計のかかる決着で輝いた母父ノーザンテーストの底力
文/編集部
今年の
中山記念は
10頭立てと、少し寂しい感じの少頭数だったが、メンバーをざっと見渡して、
「最近の重賞で、この頭数にしては、サンデーサイレンス産駒がやけに多いな」という印象を、まず感じていた。
3枠3番
キングストレイル、4枠4番
スウィフトカレント、7枠7番
エアシェイディ、8枠10番
キャプテンベガ。10頭の中に、4頭もの
サンデー産駒がいる。
08年以降のJRA重賞で、サンデー産駒の出走が4頭以上あったレースは、今年の
中山記念で7レース目。しかし、
今回の中山記念以外はいずれも14頭立て以上で、
出走頭数に占めるサンデー産駒の割合は、今回(40%)がいちばん高い。
もっとさかのぼれば、
「出走頭数に占めるサンデー産駒の割合が40%以上」というレースは、
07年のクイーンS(12頭中にサンデー産駒が5頭・41.7%)以来ということになる。
その
07年のクイーンSでは、5頭いた
サンデー産駒がすべて馬券圏外に負けていたのだが、今年の
中山記念も、
「サンデー産駒が上位を独占するか、あるいはすべて馬券圏外か。そういった極端な結果になりそうな気がするな」という、漠然とした予感がしていた。
結局、自分の馬券としては、
「サンデー産駒の上位独占」の方に賭けて撃沈(笑)。しかし、
「あるいはすべて馬券圏外か」という予感は的中していた。
サンデー産駒を長く見続けている人には、なんとなく分かってもらえる気がするが、
複数出走の重賞でこういった極端な成績となるのは、サンデー産駒らしいといえばらしい結果と言えるだろう。
そんな中、今年で83回目となる伝統の重賞を制したのは、SSに比べればマイナーな種牡馬の
ミラクルアドマイヤが父の
カンパニー。しかし、同馬の場合、血統的に注目すべきなのは、父というより、母父の
ノーザンテーストの方だという気がする。
今年の
中山記念の勝ち時計は
1分49秒2。いくら雨が降る中の道悪(稍重)競馬だとはいえ、近20年の同レースで見ても、勝ち時計が
1分49秒以上となったのは、他に95年(1分50秒3。この年も稍重で、勝ち馬は
フジヤマケンザン)しかない。
ただ、ここで言いたいのは、時計的なレベル云々の話ではない。
「古馬の芝1800mの重賞で時計がかかると、ノーザンテーストの血を持つ馬はやっぱり強いな」という点だ。
00年以降、
「3&4歳以上の牡牝混合の芝1800m重賞で、勝ち時計が1分49秒0以上だったレース」は、今回の
中山記念で10レース目。そのうち6レースで、
父か母父がノーザンテースト系という馬が勝っている。
中山記念で振り返っても、00~08年でもっとも時計が遅かったのは、
06年(勝ち馬バランスオブゲーム)の
1分48秒9だが、その年には
母父ノーザンテーストという馬が2~4着に来ていた。
逆に、
中山記念のレコードは
04年に計時された
1分44秒9だが、その年の勝ち馬
サクラプレジデントは、
サンデーサイレンスの産駒。
冒頭に
サンデー産駒について触れたが、
ノーザンテーストは、SSの産駒が日本競馬を席巻する少し前までの82~92年に、
11年連続でリーディング・サイアーとなっていた大種牡馬。先ほど
「時計がかかると」といった話をしていたが、当然、そんな了見の狭い血統ではない。
ただ、そういった意味ではなく、今回の
カンパニーの勝ちっぷりを見ると、母父としてながら、
「どうだ、サンデーよ。お前たちの子は、時計の速い競馬では強いかもしれないが、こういう時計のかかる馬場なら、ワシの血を引き継ぐ者には、まだまだかなうまい」と高らかに笑う、長老のようなノーザンテースト爺さん(?)の様子が、頭に浮かぶ気がした(笑)。
05→06年に6→7歳で
中山記念を連覇した
バランスオブゲームは、3代母の父が
ノーザンテースト。08→09年に7→8歳で同じく連覇した
カンパニーは、母父が
ノーザンテースト。さらに07年にも、
母父ノーザンテーストで
6歳の
エアシェイディが2着に好走している。
改めて考えて見ても、
中山記念は
「ノーザンテーストの血を持つ6歳以上馬」の活躍が、思いのほか目立つと言えるだろう。
現在の全体の情勢は、
「SS後継種牡馬たちによる、壮絶な覇権争い」といった血統地図だが、それとは違うピンポイントの世界ながら、来年以降の
中山記念も、
「偉大なるノーザンテーストの血を引き継ぐ者たちの覇権争い」に、しっかりと目を向けていきたいと思った。