波乱になっても、もう鳩に豆鉄砲状態にはなりません!?
文/編集部

出走馬18頭中、
前走で勝利している馬が
6頭、他12頭は前走で
8着以下に負けている。前走の条件を見ると、
芝1600mの重賞やOP特別、
ダ1600mのOP特別、
芝1400mの重賞やOP特別、
条件戦の芝1200mやダ1200m。臨戦過程も
連闘の馬もいれば、
休み明けの馬もいる。とてもひと筋縄で収まる気配はない。レース前、馬柱を見た率直な感想がそれだった。
実際、1番人気
エイシンクエストでも、単勝オッズは
5.5倍とかなり割れていた。そして、レースはというと、1番人気
エイシンクエストは
10着、2番人気
スパラートは
11着、3番人気
デグラーティアは
13着で総崩れとなり、1着
ジョーカプチーノ(
4番人気)、2着
カツヨトワイニング(
12番人気)、3着
ルシュクル(
8番人気)で決まり、波乱の決着となった。
レース前のイメージは正しかった。付け加えれば、開催時期が3月に以降した近3年すべてで、
サクラバクシンオー産駒が必ず1頭は馬券に絡んでいたので、今年も
スパラート、
ルシュクル、
アンジュアイルのうち、どれかは馬券に絡みそうだというイメージも、
ルシュクルが
3着に来たので間違ってはいなかった。
ただ、
ジョーカプチーノ、
カツヨトワイニング、
ルシュクルの順番で決まることを予測できるほど、イメージ豊かではなかったのは残念でならない(笑)。さらに、
ジョーカプチーノはハナを切らないまでも、前、前でレースを進めると決め付けていたから、直線で外から追い込んできた時は、もう完全に
鳩に豆鉄砲状態だった。
ジョーカプチーノの存在を初めて意識したのは、昨年、
札幌ダ1700mでのデビュー戦だった。単勝は
1.5倍の断然1番人気。それ以前で、
マンハッタンカフェ産駒はダートの新馬戦で[2.1.2.25]と成績がひと息だったので(09年3月22日終了時点では
[2.5.3.33])、正直、
そんなに人気になって大丈夫なのかと心配した記憶がある。
結果は逃げ粘って2着となったが、勝った
ナムラカイシュウがレコードで駆け抜けたので、相手が悪かったのだが、血統的には芝で本領発揮、もっと言えば、
マンハッタンカフェ(菊花賞、天皇賞・春、有馬記念)×フサイチコンコルド(ダービー)という配合から、
芝の中長距離がピッタリだろうと、勝手にイメージしていた。
初勝利は4戦目の
中京ダ1700m。ダートから始動していたことを考えれば、その流れは理解できる。ところが、次走は
芝1400mの
クロッカスS。デビュー3戦目には
ダ1400mで逃げ粘っていたから、スピードがあると見込んでのレース選択だったのだろう。それでも、初芝でいきなり
OP特別に挑んでくるとは思いも寄らず。
クロッカスSは好位で踏ん張れず
7着となったものの、いまになって思えば、陣営が
ジョーカプチーノのスピード資質を相当高く評価していたことが窺える。そして、その資質は次走の
萌黄賞(小倉芝1200m)で開花。テン3Fを
33秒3で飛ばし、後続を寄せ付けず逃げ切り勝ち。勝ち時計
1分8秒9は、翌日に良馬場で行われた古馬1000万のそれを0秒3上回っていた。
そして、初めて控える競馬をした
ファルコンSで差し切りを決めるまでに至る。今回の結果に関しては、前走でマークした
1分8秒9(メンバー中最速)という走破時計だけは裏切らなかったものの、いやはや、
ジョーカプチーノはわずかキャリア7戦の中で、イメージの裏切りの連続である。
それにしても、
マンハッタンカフェ産駒が重賞を勝つ時はよく荒れる。その結果を振り返ってみると……。
07年札幌2歳S1着
オリエンタルロック(6番人気)
2着
サブジェクト(1番人気)
3着
ホウザン(13番人気)
08年フローラS1着
レッドアゲート(1番人気)
2着
カレイジャスミン(6番人気)
3着
キュートエンブレム(8番人気)
08年京都新聞杯1着
メイショウクオリア(2番人気)
2着
ロードアリエス(9番人気)
3着
マイネルローゼン(6番人気)
5着
ブラストダッシュ(1番人気)
08年福島記念1着
マンハッタンスカイ(7番人気)
2着
マイネルキッツ(3番人気)
3着
グラスボンバー(14番人気)
8着
フィールドベアー(1番人気)
08年愛知杯1着
セラフィックロンプ(16番人気)
2着
チェレブリタ(14番人気)
3着
マイネレーツェル(3番人気)
8着
ニシノマナムスメ(1番人気)
09年シンザン記念1着
アントニオバローズ(2番人気)
2着
ダブルウェッジ(12番人気)
3着
トップカミング(10番人気)
4着
ミッキーパンプキン(1番人気)
09年オーシャンS1着
アーバニティ(3番人気)
2着
コスモベル(6番人気)
3着
アポロドルチェ(5番人気)
10着
キンシャサノキセキ(1番人気)
09年ファルコンS1着
ジョーカプチーノ(4番人気)
2着
カツヨトワイニング(12番人気)
3着
ルシュクル(8番人気)
10着
エイシンクエスト(1番人気)
8戦中7戦で8番人気以下の人気薄を連れてきて、8戦中6戦で1番人気馬が馬券圏外となっている。8戦の3連単の平均配当は
約38万600円。父自身も、
天皇賞・春こそ上位人気3頭で決着していたが、
6番人気で制した
菊花賞では2着が
マイネルデスポット(
11番人気)、
1番人気の
ジャングルポケットは
4着、
3番人気で勝利した
有馬記念では2着が
アメリカンボス(
13番人気)、
1番人気の
テイエムオペラオーは
5着だった。
マンハッタンカフェ産駒が重賞を制する時というのは、
時計のかかる馬場であることが多いので、伏兵馬が食い込みやすい状況なのかもしれない。それでも、産駒たちは
中距離であろうと
短距離であろうと、父のキャラクターをしっかりと受け継いでいる。
マンハッタンカフェ産駒は
芝重賞における波乱の使者。そのイメージは今後も、そんなに裏切られることはないんじゃないかと思う。
ジョーカプチーノにはイメージを覆され続けてきたが、
ファルコンSでそのことに気づかせてくれて感謝。
マンハッタンカフェ産駒が
芝重賞を勝って波乱になっても、もう
鳩に豆鉄砲状態にはならないぞ(笑)。