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5歳以降に別定&定量戦のG2で初重賞制覇をした父SS系は大注目
文/編集部

ようやくひとつ目。陣営にとっても、応援し続けたファンにとっても、まさにそんな心境だろう。3歳時にはG1の菊花賞で2着の好走もあるアルナスラインが、5歳の春重賞挑戦10回目にして、初のタイトルを手にした。

今年に入ってからの4歳以上の芝重賞は、アルナスラインのように「5歳以上になっての重賞初制覇」というケースがやけに目立つような気がして、改めて調べてみた。

東京新聞杯アブソリュート(5歳)、シルクロードSアーバンストリート(5歳)、阪急杯ビービーガルダン(5歳)、オーシャンSアーバニティ(5歳)、中京記念サクラオリオン(7歳)。3月末までに行なわれた4歳以上の芝のG2&G3は17レースあり、その3分の1ほどは、「5歳以上になっての重賞初勝利」ということになる。

これには様々な要因があるのだろうが、サラブレッドの育て方の変化という面も、もしかしたらあるのかもしれない。

血統的に言えば、アルナスライン(父アドマイヤベガ)と同じく父がサンデー系なのは、アーバニティ(父マンハッタンカフェ)のみ。08年以前もさかのぼって、同様の父サンデー系は、どれぐらいいるのかも調べてみた。

5歳以上になって芝重賞を初めて勝った父サンデー系は、アルナスラインで38頭目。08年で言えば、AJCCエアシェイディ(7歳)、シルクロードSファイングレイン(5歳)、オーシャンSプレミアムボックス(5歳)、マーメイドSトーホウシャイン(5歳)、府中牝馬Sブルーメンブラット(5歳)などがいる。

昨年、アルナスラインと同じアドマイヤベガ産駒ブルーメンブラットが、府中牝馬Sで初重賞制覇を果たした後、連勝でG1のマイルCSまで制したのは、記憶に新しいところだろう。

もう少し条件を限定させて、日経賞を制したアルナスラインと同様、別定&定量戦のG2を勝った馬は、先述の38頭のうち、8頭にまで絞られる。

さらにその8頭のうち、3歳2月時点でOP特別(すみれS)を勝っているアルナスラインと同様、3歳の6月時点までにOPクラスの芝で3着以内がある馬はどれぐらいいるのかも調べてみた。

00年の大阪杯を制したメイショウオウドウ(3歳5月京都4歳特別③着)、03年の阪神大賞典を制したダイタクバートラム(3歳3月毎日杯③着)、08年のAJCCを制したエアシェイディ(2歳12月ホープフルS①着)。この3頭しかいない。

父サンデー系と言えば、2~3歳の重賞でも、古馬になってからの重賞でも、活躍馬は枚挙にいとまないほど出ているが、早い時期から高い能力を見せるタイプが基本的に多いこともあって、「古馬になってから重賞で好走するような馬は、3歳春時点ぐらいまでにOPクラスですでに好走実績のある馬が多い」といった傾向が見られる。

そういった背景から、「3歳春までにOPクラスで馬券圏内の実績あり→その後、4歳時点まで重賞勝ちはなし→5歳以降になって初めて重賞を制覇」といった成長曲線を描くこと自体が、父サンデー系にとっては、珍しいタイプと言えるだろう。

しかも、アルナスラインや先述の3頭のように、5歳以降になってからの初重賞制覇が、敷居の高い別定&定量戦のG2ともなれば、なおさらだ。

先述の3頭のその後を見ると、メイショウオウドウは、大阪杯を制した00年にマイルCSで3着→翌年にG3を1勝ダイタクバートラムは、阪神大賞典を制した03年に天皇賞・春で3着→翌年にG2とG3を各1勝エアシェイディは、AJCCを制した08年に有馬記念で3着

いずれも3着までだが、同年のG1で馬券圏内に入っている。父サンデー系にとって珍しい成長曲線を描いた馬たちというのは、高いポテンシャルを持っていることが多いのだろう。

アルナスラインは先述の3頭と違って、3歳時点ですでにG1での2着好走歴がある。そのぶん、先述の3頭以上の高いポテンシャルを感じさせられる。天皇賞・春をはじめ、今年のG1戦線でどれだけ暴れまわってくれるのか、今後が楽しみと言えるだろう。

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