期待するからこそ、今後もさらなる高みを目指していってほしい
文/編集部
ディープスカイ(
1番人気)、
マツリダゴッホ(
2番人気)、
ドリームジャーニー(
3番人気)、
カワカミプリンセス(
4番人気)、
ヴィクトリー(
6番人気)、
シャドウゲイト(
10番人気)。今年の
大阪杯は
出走馬の半数にあたる6頭がG1馬という、例年にも増して豪華メンバーが揃い、そして上位人気に推されていた。
ただし、単勝オッズは
ディープスカイが
1.6倍、
マツリダゴッホが
6.2倍、
ドリームジャーニーが
6.9倍、
カワカミプリンセスが
11.5倍となっていた。オッズ的には
ディープスカイが抜け出していて、
優勝する可能性が高い、と見ているファンが多かったということだろう。
過去20年の
大阪杯を振り返ると、
1番人気は
[15.1.0.4]、勝率75.0%と高い信頼性を誇っていた。また、過去20年、前年のダービーを制し、大阪杯に出走して1番人気に推されたのは92年
トウカイテイオー(単勝1.3倍)、04年
ネオユニヴァース(単勝1.8倍)、07年
メイショウサムソン(単勝1.9倍)の3頭だったが、いずれも勝利している。
ディープスカイは
4ヵ月ぶり、
初めて背負う59kg、加えて、
重賞での3着以内7回は東京芝か阪神芝外回りに限られていただけに、
内回りの阪神芝2000mがどうなのかなど、不安要素は決して少なくなかったが、それらの課題を乗り越え、名だたる名馬3頭に肩を並べることができるのか、注目していた。
結果、
ディープスカイは2着。中団で折り合って進み、3~4コーナー、直線にかけてもスムーズに競馬ができていた。馬体重は8kg減で
510kg。休み明けを感じさせず、仕上がり、勝負所での反応などは、同じ4ヵ月ぶりだった
神戸新聞杯よりも良かったように思う。今年初戦に賭ける陣営の意気込みが伝わってきた。
昨夏、
四位騎手に会った時に
「ディープスカイがスターホースとしてファンの人に認知してもらえるように、秋競馬で頑張りたい」と話していた。自分自身でも
ディープスカイに寄せる期待は大きく、だからこそ、
天皇賞・秋と
ジャパンCで惜敗した時のレース直後は、言葉にならないほどの悔しさを滲ませていた。
だから、
大阪杯にかける期待、プレッシャーは並々ならぬものがあったはず。だが、
ディープスカイは2着となった。いや、圧倒的な単勝支持を考えると、
負けたという表現のほうが妥当なのか。厳しいかもしれないが、それが
大阪杯の本命馬の宿命だとも言えるし、
ディープスカイに期待する人間の心情だとも思うからだ。
着差はわずかにクビ差。その差に
4ヵ月ぶり、
59kgという要素を持ち出してほしくはないが、
四位騎手はきっと、それらを言い訳にはしないと思う。
ディープスカイは次走、
安田記念に向かうようだが、
大阪杯の結果を受け、人馬がどんなパフォーマンスを見せてくれるか、期待してその時を待ちたい。
一方、勝利を収めた
ドリームジャーニーは賞賛されていいだろう。
池添騎手がレース後のインタビューで
「ディープスカイが斜め前に見えたので、その後ろで我慢して追走していければ」と語っていたように、確かに
本命馬を目標にしてレースをできた展開利があったとは思う。
それでも、実力が伴っていなければ、
ディープスカイを差し切ることはできないはず。上がりは
ドリームジャーニーが
34秒0、
ディープスカイが
34秒2。持ち前の決め手を存分に発揮させた
ドリームジャーニー、
池添騎手の手腕は見事だった。さすがはG1馬、
有馬記念4着はダテではないということだろう。
また、
ドリームジャーニーは
朝日杯FS(06年)、
神戸新聞杯(07年)、
小倉記念(08年)、
朝日CC(08年)に続いて、
4年連続で重賞を制したことになる。そもそも
ステイゴールド×メジロマックイーン×ノーザンテーストという血統から言えば、
2歳G1を制したこと自体が驚きなのだが。
ステイゴールドや
メジロマックイーンは
6歳以上でG1を勝っていて、
ノーザンテースト産駒も
古馬になっての成長力が長所のひとつでもあった。
ドリームジャーニーはまだまだ進化しそうな印象を受けるので、
朝日杯FS以来のG1制覇に向けても視界は良好だろう。
とすれば、のちのち、
ディープスカイが
大阪杯で
ドリームジャーニーに負けたという事実も、納得できる日が来るかもしれない。
ディープスカイ4歳、
ドリームジャーニー5歳。フレッシュな世代を代表し、競馬界を盛り上げるスターホースとして、今後もさらなる高みを目指していってほしい。