本番でも得意のロングスパートで父サンデー系を封じ込め!?
文/編集部
日曜日の朝イチの段階では、東京は
芝も
ダートも
不良馬場だったが、馬場はあっという間に回復していき、最初の芝レースだった
5R(3歳未勝利、芝1600m)は
稍重。その後、9Rの
石和特別(1000万、芝1800m)まで
稍重だったが、11Rの
フローラSは
良馬場に回復した。
早朝に干した洗濯物が午前中のうちに乾き、昼前に干した洗濯物が特別競走が始まる前に乾く。
生活感丸出しの例えですが(笑)、東京は強い風が吹いていた影響もあってだろう、東京競馬場の馬場の回復が早かったのは納得がいく状況だった(それにしても、
石和特別の
レッドシューターの勝ち時計
1分46秒5には驚かされたが)。
前日発売では、
ミクロコスモスが
4.4倍で1番人気、
ディアジーナと
ハシッテホシーノが
4.6倍で2番人気、
ワイドサファイアが
4.9倍で4番人気。それが最終的には
ミクロコスモスが
3.9倍で1番人気、
ディアジーナが
4.2倍で2番人気、
ワイドサファイアが
4.8倍で3番人気、
ハシッテホシーノが
6.9倍で4番人気となった。
4頭に人気が集中していることに変わりはなかったものの、あまりの馬場の回復の早さに、ちょっとだけ
ディアジーナ本命の心に不安が過ぎった。
というのは、
ミクロコスモス、
ワイドサファイア、
ハシッテホシーノは
父サンデー系であり、
良馬場での斬れ味勝負のほうが能力を発揮しやすいと思ったから。実際、その3頭の最速上がりを見ると、
ミクロコスモスは
33秒4、
ワイドサファイアは
34秒2、
ハシッテホシーノは
33秒9と速い。
一方、
メジロマックイーン産駒の
ディアジーナは9戦のキャリアを誇っていたが、最速上がりは
赤松賞でマークした
34秒5。
道悪が残り、
父サンデー系の瞬発力が封じられるような馬場状態であるなら、重馬場の菜の花賞で3馬身差の圧勝を飾ったことがある
ディアジーナのほうが優位に立てる。そう思っていた。
ところが、
良馬場だろうが関係なし。好位で流れに乗っていた
ディアジーナは、直線半ばで先頭に立ち、一旦は
ワイドサファイア、
ハシッテホシーノに接近されるシーンもあったが、そこからもうひと伸びして、2頭とのリードを拡げてゴールを通過した。2着となった
ワイドサファイアとの差は2馬身。
完勝と言える内容だった。
レース後のインタビューで
内田博幸騎手は、
「坂を上り切る前くらいでゴーサインを出して、早めに少し押し出したほうが、直線の長い東京で、いい脚を長く使えると思ったので」と語っていたが、なるほど馬の特徴をきっちりと熟知している。
コンビを組んで[3.2.1.0]という成績も頷けるところだ。
正直、レースの上がりは
36秒3とかかっていたから、
良馬場とはいえ、馬場状態は
ディアジーナに味方した部分があったかもしれない。それでも、
「こういうパフォーマンスができたことは次に繋がると思います」という
内田博幸騎手のコメント通り、
オークスに向けて期待できる内容だったことは間違いないだろう。
しかし、
ディアジーナの好パフォーマンスとは裏腹に、
ブエナビスタという大本命の存在ばかりでなく、
過去のデータが大きな壁となって立ちはだかる。というのは、
過去10年、フローラSからオークスに直行した馬は[1.2.2.41]という成績で、勝ち馬は01年の
レディパステル(
フローラSは2着)しか出ていないのだ。
さらに言えば、フローラSから直行して3着以内に入った5頭(01年1着
レディパステル、01年2着
ローズバド、03年3着
シンコールビー、05年3着
ディアデラノビア、07年2着
ベッラレイア)は、
フローラSで4角7番手以下から差して1~3着に入っていた馬たちでもある。
そのデータで考えると、今年は
4角7番手から差してきていた
ワイドサファイアが、
オークスの優先出走権とともに、好走権を得たことになるのだが、果たして
ディアジーナはその向かい風データを跳ね除けることができるのか。
ブエナビスタは強い。
桜花賞は
33秒3の驚異的な瞬発力で差し切りを決めた。2着
レッドディザイアも上がりは
33秒7、3着
ジェルミナルも上がりは
33秒8と速かった。
オークスが
スローペースの上がり勝負となれば、決して
ディアジーナに向く流れとは思えない。
だがそれでも、
フローラSのように、
先行策から長くいい脚を使える長所を活かせれば……
瞬発力に秀でた父サンデー系の
桜花賞上位組、
ロングスパートで粘り込みたい
ディアジーナ。対極とも言える特徴を備えた馬たちが、
オークスという大舞台で初めて激突する。5月24日が待ち遠しい限りだ。