アプレザンレーヴの青葉賞制覇は池江郎厩舎にとっても歴史的な勝利
文/編集部
アプレザンレーヴは、
父シンボリクリスエスに続いての青葉賞の親子制覇。そして、馬主の
サンデーレーシングは、
3月22日の
スプリングSの
アンライバルドから始まり、
日経賞(
3月28日)
アルナスライン→
大阪杯(
4月5日)
ドリームジャーニー→
桜花賞(
4月12日)
ブエナビスタ→
皐月賞(
4月19日)
アンライバルド→
アンアレスS(
4月26日)
ウォータクティクス、そして今週の
青葉賞で、
7週連続の重賞制覇となった。
結果的に、こういった様々な面でトピックスのあった今年の
青葉賞だが、レース前の時点で個人的にもっとも注目していたのは、ともに2頭出しだった
「池江泰郎厩舎vs松田博資厩舎という関西の名門厩舎の対決」だった。
池江郎厩舎は、
アプレザンレーヴが
1番人気、
イネオレオが
4番人気。
松田博厩舎は、
バアゼルリバーが
2番人気、
キタサンアミーゴが
8番人気。人気的にも、この両厩舎の馬が1番人気と2番人気になり、
対決ムードが高まったなと思った。
結果的には、
アプレザンレーヴが1着、
イネオレオが5着、
キタサンアミーゴが8着、
バアゼルリバーが13着で、
今回のところは池江郎厩舎の完勝といった感じ。
そして、
池江郎厩舎の重賞での複数頭数出しによる勝利は、今年に入ってから、
サクラオリオンが
15番人気で制した
中京記念(
ドリームサンデー&
バトルバニヤンとの3頭出し)に続き、2回目となった。
気になったので、
池江郎厩舎の平地重賞での複数頭数出しの成績を調べてみたら、90年以降に
43レース(09年5月2日まで)が該当していて、そのうちの
18レース(41.9%)で、いずれかが3着以内に好走。想像していた以上に、馬券に絡んでいる。
もう少し細かく見ると、
43レースのうち半数以上の
25レースが
04年以降のもので、04年以降は
25レース中の12レース(48.0%)において、いずれかが3着以内に好走している。調べてみて初めて気づいたことだが、
池江郎厩舎の平地重賞での複数頭数出しは、近年、特に増えていた
「お宝パターン」だったわけだ。
ただ、これを前もって知っていれば、
青葉賞の
アプレザンレーヴを自信を持って狙えたかと言えば、それほど単純な話でもない。
今年の青葉賞以前に、池江郎厩舎の平地重賞での複数頭数出しで勝った馬(90年以降)と、その年齢を挙げてみると、
93年大阪杯の
メジロマックイーン(
6歳)、
97年日経新春杯の
メジロランバダ(
4歳)、
01年エリザベス女王杯の
トゥザヴィクトリー(
5歳)、
05年クイーンSの
レクレドール(
4歳)、
09年中京記念の
サクラオリオン(
7歳)。
このようにすべて4歳以上での勝利で、
2~3歳馬については今年の青葉賞以前にのべ14頭が出走して、1着はおろか、2~3着にすら1頭も来たことがなかったのだ。
そして、単に来ていなかっただけでなく、その中には、
99年秋華賞での
トゥザヴィクトリーの
1番人気13着、
02年ダービーでの
ノーリーズンの
2番人気8着、
04年皐月賞での
ブラックタイドの
2番人気16着など、上位人気での敗戦も含まれている。
アプレザンレーヴが
青葉賞を制覇、しかも
1番人気に応えて勝ったことは、そういった
池江郎厩舎の歴史を踏まえれば、
かなりエポック・メイキングな出来事だったと言えるだろう。
アプレザンレーヴは、
父ロベルト系、母が
グレイソヴリン系×ブラッシンググルーム系×ニジンスキー系という、血統の字面だけ見れば、開花はいかにも遅めな印象がする配合。それでいながら、
今年の2月に東京芝2000mで500万下を勝った時には、勝ち時計2分1秒0は、翌週の古馬1600万下(アメジストS)より0秒6遅いだけと、3歳2月の時点ですでに能力の高さを示していた。
そして、池江郎厩舎の平地重賞での複数頭数出しにおける、過去の壁を破った点も合わせて考えれば、
この先、血統通りにさらなる成長を遂げれば、かなり楽しみが広がる存在となってきそうだ。
この後の
ダービーはもちろん、
3歳秋、そして
4歳以降と、どれだけの成績を残してくれるか、今から楽しみだ。