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父と真逆のイメージを払拭することができるか!?
文/編集部

「今日は勝負がかかっていたので良かったです。今日は取りこぼせないですし、ペースも速くならないと思ったので、ある程度、前目で積極的な競馬をしました。このまま無事に行って、本番でも直線で思いっきり爆発させてあげたいですね」

四位騎手はレース後の勝利騎手インタビューでそう話していた。ベストメンバーにとって、ダービー出走のためには賞金を加算することが必要であり、まさに背水の陣で臨んだ一戦だったが、初めて推された1番人気に応え、完勝という形で大舞台への切符を掴んだ。

四位騎手の言葉にもある通り、ベストメンバーはスローペースを見越して前、前でレースを進める。だが、突如の先行策ではなく、すでに好位付けの競馬は実践済み。好位で折り合い、直線で内目からしっかりと脚を伸ばし、逃げ粘るロードロックスターを交わし、デルフォイの急追を凌いだ。

強敵相手に揉まれてきた経験どの位置からでも競馬ができる自在性ジョッキーの好判断……2着デルフォイとの着差はわずか半馬身だったが、今回のメンバーには総合力で勝っていたように感じた。皐月賞5着はダテではないということだろう。

ベストメンバーの成績を振り返ってみると、新馬戦1着京都2歳S4着寒竹賞1着きさらぎ賞4着若葉S1着皐月賞5着、そして京都新聞杯1着。7戦すべてで掲示板を確保しているが、勝利馬券圏外を交互に繰り返し、一進一退の攻防を繰り広げている。

だが、後がない若葉S皐月賞の優先出走権を獲得し、今回の京都新聞杯でもダービーへの切符を掴んだ。土壇場に強いという見方ができる一方、厳しい言い方になるかもしれないが、トライアルホースというイメージはまだ払拭されたわけではない。思い起こせば、マンハッタンカフェ産駒にはそういうタイプが多かったように思う。

初年度産駒では、ココナッツパンチ弥生賞2着→皐月賞9着スマートカスタムスイートピーS1着→その後引退。2年目の産駒では、レッドアゲートフラワーC2着→フローラS1着→オークス6着メイショウクオリア京都新聞杯1着→ダービー17着

そして、現3歳の3年目の産駒では、ベストメンバーをはじめ、青葉賞2着マッハヴェロシティプリンシパルS2着アントニオバローズダービーへの優先出走権を獲得し、過去2年以上にトライアルで存在感をアピールをしている。

確かに、現3歳世代の中からは、NHKマイルCを制したジョーカプチーノG1初制覇を飾り、桜花賞で2着となり、オークスでもブエナビスタの相手筆頭と目されるレッドディザイアが出ている。今年の皐月賞には、出走馬中で最多となる3頭を送り出していて、OPクラスで勝利している馬は6頭にも上る。

種牡馬としての成績は文句のつけようがなく、産駒のイメージもここへきて変わりつつある。それでも、マンハッタンカフェ産駒皐月賞ベストメンバー5着アントニオバローズ9着メイショウドンタク17着だったこともまた現実である。

父であるマンハッタンカフェ弥生賞4着セントライト記念4着日経賞6着となり、前哨戦では勝利はおろか馬券圏内にも届かずに負けていたが、菊花賞1着有馬記念1着天皇賞・春1着だった。凱旋門賞13着を除けば、国内のG1では3戦全勝でターフを去っている。

しかし一方で、産駒はOPクラスの芝2400m以上で[0.4.0.22]となっており、父は芝長距離の大一番で強さを発揮するタイプだったが、何とも不思議なもので、いまのことろ、父と中長距離型の産駒のキャラクターは真逆となっている。

付け加えれば、京都新聞杯がダービー前に移行した00年以降、京都新聞杯から直行した馬は[1.2.0.16]、本番で勝利したのは00年のアグネスフライトしかいない。データ的にはベストメンバー、ダービー3連覇の偉業に挑む四位騎手に対して、向かい風が吹いていると言わざるを得ない。

ベストメンバートライアルホースというイメージを振り払うことができるのか。ジョーカプチーノに続くことができるのか。ベストメンバーにとって、ダービーがひとつのターニングポイントになりそうだが、挑戦しないことには新たな歴史の扉は開かない。

「本番でも直線で思いっきり爆発させてあげたいですね」という四位騎手の言葉を信じて、一進一退ながら着実に成長を遂げているベストメンバーに期待して、5月31日のダービーを待ちたいと思う。

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