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G1というチャンピオンベルトはいよいよ目前に!?
文/編集部

勝ったのは1番人気に支持されたサクラメガワンダーだった。前々走の鳴尾記念1着、前走の京都記念2着に続いて3戦連続1番人気での重賞連対となった。ここにきてのサクラメガワンダーの充実ぶりを見ると、あるひとりのプロレスラーが思い浮かぶ。新日本プロレスの中西学選手である。ご存知ない方のために簡単に紹介しよう。

新日本プロレス入門前はフリースタイルでバルセロナオリンピックに出場するなどアマレスで活躍。プロレスのデビュー戦は当時のメインエベンターである藤波辰巳選手のタッグパートナーに抜擢されるなど破格の扱いを受けた。その後も同世代の選手たちの先陣を切って海外遠征に出るなど将来を嘱望されていた。

ところが、タッグマッチのベルトを奪取し、夏のトーナメント大会優勝などの結果を残したが、なぜか団体最高峰のベルトには手が届かなかった。その実力は誰もが認めるところなのだが、同世代の選手たち、さらには後輩たちが栄光を手にするのを見ているだけだった。

その中西学選手が今年の5月6日に、デビュー17年目にしてついにチャンピオンとなり、そのベルトを腰に巻いた。その時、会場からは大きな拍手とともに、大中西コールが起こった。

そしてサクラメガワンダーである。祖母サクラクレアーからは天皇賞馬サクラチトセオー、エリザベス女王杯馬サクラキャンドルが出ている良血で、デビュー前から期待されていた。

2歳時にはラジオたんぱ杯2歳Sにおいて、札幌2歳Sなど3連勝中だったアドマイヤムーンを倒し、一躍、クラシック戦線の主役となった。ところが、クラシック本番では皐月賞6着ダービー10着とひと息な成績に終わる。

その後も勝ち星から見放されるが、ラジオたんぱ杯2歳Sを勝った暮れの阪神開催で鳴尾記念をレコード勝ちし、実力を示してみせた。

ところがそれから2年間。サクラメガワンダーは重賞勝利から遠ざかることとなる。G1で掲示板に載ったり、重賞で3着に入るなど力は示していたが、1着が遠かった。

そして迎えた昨年の鳴尾記念。そんな状況の中、1番人気に支持されたサクラメガワンダー2年ぶりの勝利を挙げた。しかし、ただ勝っただけでは2年前と同じこと。前述のように京都記念2着、そしてこの金鯱賞1着と、今回は結果を残し続けている。しかも、これだけ重賞戦線で長く活躍していながら、意外にも今回が初のG2勝利である。

現在のサクラメガワンダーの充実度はレースぶりにも表れていた。道中は中団に控え、3コーナー過ぎから外を徐々に進出。直線入口で先頭集団に並びかけるとスッと抜け出して、最後は余裕すら感じさせるゴールイン。

一方、2、3番人気ベッラレイア(4着)、スマートギア(5着)は自慢の末脚を活かすために後方待機した結果、出走メンバー中最速の上がり(33秒7)を繰り出したにも関わらず、2着争いに加わるのが精一杯だった。

これまでだったら、サクラメガワンダーもその中に混じっていたのではないか。スローペースを見抜き、自ら前を捕えに行き、勝ち切ってみせたところに、いまのサクラメガワンダーの強さを感じる。

福永騎手はレース後のインタビューで、宝塚記念に向けて調整段階とも言っていた。得意の阪神中距離の舞台G1というチャンピオンベルトを手にすることができるか。サクラメガワンダーの走りをずっと見てきた競馬ファンなら、その力が十分にあることは分かっているはずだ。

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