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数少ない古牝馬の中距離の舞台が、またも荒れ模様に…
文/編集部

ハンデ戦の牝馬限定重賞は06年以降、年に3回行なわれているが、ここ1年はすさまじい荒れっぷりを見せている。

昨年のマーメイドS最低人気トーホウシャインが勝ち、暮れの愛知杯16番人気セラフィックロンプが制した。今年の中山牝馬Sこそ勝ったのは4番人気キストゥヘヴンだったが、2着は15番人気ピンクカメオ、3着は11番人気ダンスオールナイトで決まり、3レースの3連単の平均配当は約160万円!

馬場が渋るとその傾向はさらに顕著となり、稍重以上で行われたハンデ戦の牝馬限定重賞は過去10年で4回あり、馬連配当はすべて7000円オーバー、平均配当は約2万8000円となっている。

土曜日から降り続いた雨に、今年も大荒れ必至と見ていたら、レース前にはすっかり晴れてしまい、多少水を含んだ馬場となったが発表は良馬場だった。果たして、その馬場状態がどう出るかと思っていたら、馬連は5200円、3連単は12万4220円となり、堅くもなく大荒れでもなく、中穴決着となった。

勝ったコスモプラチナこれがOPクラスで9戦目で初の馬券圏内となり、阪神芝では10戦目にして初勝利だった。加えて今回は6ヵ月の休み明け。開幕週の馬場でいくら他に逃げ馬がおらず、人気馬が差し馬ばかりといっても、逃げ切るまではちょっと考えづらかったが、和田騎手の積極果敢な騎乗もあり、後続を最後まで寄せ付けなかった。

ハンデ戦となる前のマーメイドSは、秋華賞10着後のエアグルーヴ1番人気に応えたのを皮切りに(97年)、99年エリモエクセル、02年ヤマカツスズラン、04年アドマイヤグルーヴ、05年ダイワエルシエーロと、G1馬たちが近走の不振をものともせず人気に応え、復活を果たす場という印象が強かった。

しかし、ハンデ重賞となってから様相は一変した。かつて前述した勝ち馬たちは56kg以上を背負って勝ってはいたが、ハンデ戦となった06年以降、56kg以上の斤量を背負った馬の連対はゼロだった。

過去3年は最軽量馬とトップハンデとの斤量差が8kgあったが、今年はそれなりにメンバーが揃い、その斤量差は4.5kgにまで縮まっていた。そういう状況だと、軽い斤量を背負っていたグループは苦戦するかもしれないとも思ったが、牝馬にとってはまだまだ大きい数字のようだ。

古牝馬のOPクラスの競走は年間に11レースあるが、そのうち8レースは1800m以下。実は準OPクラスの牝馬限定競走もすべて1800m以下で、それを考えると、マーメイドS数少ない2000m以上の舞台で、多くの賞金を持っている古牝馬にとって貴重な存在であることが分かる。

しかし、古馬混合の牝馬限定戦で2000m以上のレースが、準OP以上に限ると3レースしかなく、しかもそのうち2レース(マーメイドS愛知杯)がハンデ戦というのは(残るひとつはG1のエリザベス女王杯)、バランスを欠いているのではないだろうか。

有馬記念を制したダイワスカーレットや、ウオッカのように、牡馬と互して戦う牝馬もいるではないか、という話もあるかもしれないが、その2頭は希有な存在で、一般的な基準としてはズレていると思う。

ベッラレイアは古馬になってからもエリザベス女王杯3着など、その実力は誰もが認めるところだが、マーメイドSでは2年連続で人気を背負いながら敗れている(08年は重馬場の影響もあって5着、今年は4着、ともに1番人気)。

また、3着のリトルアマポーラトップハンデを背負った馬として、初めて馬券圏内に入り、エリザベス女王杯の覇者としての底力は示したものの、結果的には56.5kgの斤量がこたえた面が大きかったのだろう。

6歳にして、重賞初制覇を飾ったコスモプラチナの快走には大きな拍手を送りたい。ただその一方、ハンデ戦で馬券的な楽しみをファンに与えてくれるのもいいが、強い馬にしっかりと活躍の場を用意することも重要ではないかと、今年のマーメイドSを見ていて強く感じた。

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