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ミヤビランベリの成長曲線は、努力の積み重ねで上昇していた
文/編集部

先日、あるお店に行ったところ、店内に七夕飾りがしてあった。

七夕飾りを見るのなんて、学校とかの公共施設か、あるいはいかがわしい感じの店舗ぐらいで(笑)、珍しいなあと思っていたら、店の人に「ひとつどうですか?」と短冊とペンを渡された。勧められた以上、断るのも悪いと思って受け取ったものの、何を願ったらいいものか、しばらく考えるハメになった。

他のみなさんは何を願っているのかな?と思って笹の葉をかき分けてみたところ、「億万長者になりたい!」とか「愛人を作りたい!」とか書いてあった。すでにこの時点で学校ではないことがバレていると思いますが(笑)、まあ、七夕の願いなんてその程度ということなのだろう。絵馬などと比べると、書く側の真剣度合いも低い。もちろん、これが学校とかだったら、レベルも違うんでしょうけどね。

真剣な願いを書いて飾られるのもなんだか恥ずかしい気がしたので、無難なところで「七夕賞の馬券が当たりますように」と書いてみた。

すると、どうだろう。短冊を私から受け取った店員の人が、「去年、ミヤビランベリで獲ったんですよ」と話しかけてきた。そして、短冊を笹の葉にくくりつけながら、「今年はどうですかね?」とも聞いてくる。

馬券的中を七夕に願っているような人間に予想を聞いちゃいかんだろうと思いつつ、ひとまず「いい勝負をするんじゃないですか」と大人の対応をしてみた。すると、「そうですよね。今年も勝っちゃうかなあ」と、その店員は去年のことを思い出してか、ニコニコしていた。

「いい勝負をするんじゃないか」と言ったのにウソは混じっていなかったが、本心では「いい勝負はするけど、勝つのは厳しいんじゃないか」と思っていた。

ミヤビランベリはこれまでに連勝をしたことがなく、七夕賞自体、連勝で勝った馬は00年ロングカイウンまで遡る。86年以降、連勝で七夕賞を制した馬は4頭いるが、いずれも下級条件を勝ってきた馬で、すべてハンデが54kg以下ミヤビランベリは、53kgと軽ハンデだった昨年とは異なり、今年は厳しい戦いを強いられると思っていたのだ。

ハンデが57kgと発表され、金曜日に枠順が決定されると、その思いはさらに強くなった。ミヤビランベリの過去5勝はすべてひと桁馬番で、ふた桁馬番では6着、4着、2着、13着、5着、3着、6着と敗れている。7枠14番という枠順は、かなり厳しいものに映った。

しかし、結果はご存じの通り。ミヤビランベリは終始外を回る形で、4コーナーでは不利も受けながらそこから伸び、見事な差し切り勝ちをした。

逃げ一辺倒だった昨年時とは異なり、近走では控える形でも好走していたので、差しての好走には驚かなかったが、こんな力でねじ伏せるような競馬を見せるとはビックリした。

レース後のインタビューによると、北村友騎手は7枠14番という枠順を「いい枠になった」と思っていたらしい。荒れた内に閉じ込められることがなく、自分のリズムで走れると思ったからのようだ。この時点で予想の第一段階がハズレていた。

位置取りについても、北村友騎手は、馬のリズムを最優先にして、特に先行しようという考えがなかったことを明かした。

この辺りの話を聞くと、ミヤビランベリに対して過去の面影は薄れていると言えそうだ。その成長曲線は、ここにきてさらに上昇カーブを描いているのだろう。

北村友騎手は、ミヤビランベリの成長面について、『落ち着き』を強調していた。それは、「厩舎スタッフのみなさんが一生懸命に落ち着いて臨めるようにしてくれているからだと思います」とも話していた。

落ち着きが出るような調整とはいったいどういう方法なのか、定かではないけれど、まず間違いないのは、短冊に「落ち着きが出ますように」と書くようなことではないだろう。

願い事は、短冊に書くだけじゃなく、地道に努力を重ねることが大切ということですね。来年の七夕の短冊には、「努力を重ねてきたので、特にお願いすることはありません」とキッパリ書けるような男になっていたいと思います(笑)。

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