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さすが池江郎厩舎の複数頭数出し。父ミスプロ系でもあっさりと勝利
文/編集部

函館記念を制したサクラオリオン池江郎厩舎の所属で、今回、同厩舎はドリームサンデーとの2頭出しだった。この「池江郎厩舎の重賞での複数頭数出し」は、アプレザンレーヴが勝った今年の青葉賞のレースインプレッションで「お宝パターン」だという紹介をした。ご記憶の方はどれぐらいいるだろうか。

池江郎厩舎の平地重賞での複数頭数出しは、90年以降、今回の函館記念までに46レースが該当していて、そのうちの19レース(41.3%)で、いずれかが3着以内に好走している。そして、その19レース中の13レース04年以降に集中。今年だけで言っても、アプレザンレーヴが勝った青葉賞、そしてサクラオリオンが勝った函館記念中京記念は、この複数頭数出しのパターンだった。

じゃあ、今年の函館記念池江郎厩舎サクラオリオンドリームサンデーを軸にして、簡単に獲れのたかと言うと…………結果論からすればそうだろうが、それほど単純な話でもない。厩舎作戦つながりで言えば、「浅見厩舎の3頭出しの方をどう考えるか」が、非常に悩ましかったからだ。

浅見厩舎の3頭は、マンハッタンスカイが6着、ゼンノグッドウッドが8着、レジネッタが9着。今回は結局、馬券に絡むことはなかった。ただし、それはあくまで結果論。

浅見厩舎についても同じく、平地重賞での複数頭数出しの成績を見てみると、初の複数頭数出しが96年の函館3歳Sで、今回の函館記念までに15レースが該当。数自体が池江郎厩舎より少ないが、その15レースのうちの7レース(46.7%)で、いずれかが3着以内に好走している。好走確率としては、池江郎厩舎と遜色ない。

また、その中身も充実している。06年の菊花賞ソングオブウインドが1着、04年の桜花賞ヤマニンシュクルが3着、03年の阪神JFヤマニンシュクルヤマニンアルシオンがワンツー、97年の菊花賞メジロブライトが3着。先述の好走7レースのうち、実に4レースまでもがG1レースなのだ。

ほら、悩ましいでしょう? まあ、データ的に今回はどちらが買いだったかというより、「今回はたまたま池江郎厩舎の方に軍配が上がった」と考えた方が自然なのかもしれない。今回はすべて馬券圏外に終わってしまった浅見厩舎も、先述の通りの好成績であることは間違いないので、近いうちにまた、複数頭数出しでの好走があるだろう。

サクラオリオンについては、今回、もうひとつ頭を悩ます要素があった。それは、父のエルコンドルパサーミスプロ系だということ。

90年以降の札幌&函館の芝2000m重賞で、今回の函館記念を含まないで言うと、父ミスプロ系は[1.4.0.28]。1回も勝っていないわけでもないし、連対率15.2%は大不振というほどでもないが、その唯一の勝利がアドマイヤムーン(06年の札幌記念)というのが、微妙に引っかかった。

アドマイヤムーンはご存知の通り、3歳夏に札幌記念を勝った後、天皇賞・秋3着香港C2着。そして翌年には、ドバイデューティーフリー宝塚記念ジャパンCと、G1を3勝した。要するに、「それぐらいの実力と勢いがあった3歳馬だからこそ、札幌記念を勝てたんじゃないか? 7歳のサクラオリオンに同様のことを望むのは、酷じゃないかな?」という、引っかかりを感じてしまったのだ。

そんなつまらない想像を、サクラオリオンはあっさりと覆してくれた。着差は半馬身だったが、2着マヤノライジン、3着メイショウレガーロとはゴール前での脚色の差が歴然で、完勝と言える内容だったと思う。

サクラオリオンは、NHKマイルCを勝ったタイキフォーチュン、海外の名種牡馬のゴーンウエストなどが近親にいる名牝系。このあたりは、近親にヒシアマゾンスリープレスナイトなどがいるアドマイヤムーンと似ている。7歳にして重賞2勝というのはおそらく、母系の力も大きいのだろう。

この後は果たして、どういったレース選択をしてくるのだろうか。そして次のレースでも再び、池江郎厩舎は複数頭数出しで臨むのだろうか。そういった部分にもなんとなく、池江郎師のサクラオリオンへの思いが垣間見える気がして興味深い。ただ、馬券好きとしてはぜひともまた、複数頭数出しでお願いしたいところだが(笑)。

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