ダンスインザダーク産駒の8月攻勢は始まったばかり!?
文/編集部

勝った
ダンスアジョイからハナ、クビ、ハナ、クビ、ハナ、クビ、1/2、クビ、ハナ、クビ、クビ……。
ハンデ戦にふさわしく、
18頭立ての16着までが0秒7差の中にひしめきあった大激戦は、角田騎手騎乗の
ダンスアジョイが制した。
今年の
桜花賞、
オークスで
レッドディザイアがともに2着で悔しい思いをした
松永幹夫調教師は、07年の厩舎開業以来、これが嬉しい重賞初勝利。騎手時代の恩師である
山本正司元調教師から引き継いだ
ダンスアジョイを、
8歳にして重賞制覇にまで導いたことで、感慨もひとしおだったことだろう。
ダンスアジョイは
8歳馬で、先週の
函館記念(1着が7歳
サクラオリオン、2着が8歳
マヤノライジン)に続いて、
7&8歳馬のワンツーとなった。7~8月の暑い時期に8歳馬が平地重賞を勝つのは、
昨年のキーンランドCで
タニノマティーニが勝って以来のこと。その前は
94年関屋記念の
マイスーパーマンまで遡らなければならず、グレード制導入後はわずか3頭だ。雨が多く、冷夏と言われる今年はベテランが侮れない?
ところで、
ダンスアジョイは
ダンスインザダーク産駒。今年の
ラジオNIKKEI賞を勝った
ストロングガルーダもそうだし、
やけにダンスインザダーク産駒が走っているな……と思って調べたら、確かに走っていた。
6月に入ってから先週の終了時点で
20勝を挙げ、21勝の
キングカメハメハに次いで2位。今週は
キングカメハメハが
2勝、対して
ダンスインザダーク産駒は
3勝を挙げていたので、
“夏限定リーディング”の首位に並んだことになる。
こういった事実を裏付けるように、06年~今週終了時点では(芝・ダート・障害すべてを含む、以下のデータも同様)、ダンスインザダーク産駒の
8月の勝率は
10.9%で、1年を通じてもっとも高い。ちなみに、もっとも勝率が低いのは
3月の
4.4%だった。
では、それはなぜか。同じ戦績データを競馬場別に見てみると一目瞭然で、もっとも勝率が高いのは
札幌で
10.6%、次いで
小倉が
9.3%となっている。まさに、
8月に開催が行なわれている競馬場である。8月の成績が良いのは、当たり前と言えば当たり前だったか。
そうすると、この2つの競馬場で強い理由を考えてみないといけない。枠順別の勝率は
1、2、4枠が
8%台で、
8枠が
6%台と低く、それ以外が
7%台。内枠でも器用に立ち回れるぶん、
小回り適性も高いのかもしれない(ちなみに、例えば
ジャングルポケット産駒だと、
1~3枠の勝率が
ひと桁台で、
4枠より外だと
ふた桁台になる)。
札幌、
小倉ともに小回りで知られる競馬場だ。
もうひとつ考えられる理由は
直線の坂。成績がもっとも落ちる競馬場はダントツで
中山で、勝率は
4.8%。次いで
福島が
6.4%(高低差1m程度だが、直線に登り坂がある)、
阪神が
7.0%の順になる。すべて最後の直線に坂がある競馬場だ。同じように坂がある
東京の成績(
勝率7.9%)がさほど悪くないので、こちらは一概には言えないようだが、直線の坂はないに越したことはなさそう。
ダンスインザダークの距離適性についてはよく言われるが、
器用に立ち回れる平坦小回り向きの種牡馬だということも併せて覚えておきたい。1コーナーで最後方、向正面に入ってから最内を通ってスルスルと順位を押し上げ、直線では内から馬の間を抜けた
ダンスアジョイのレースぶりは、その典型だったように思えた。
……と書いた後に、今日の
札幌最終レース(芝2000m)に4頭出走していた
ダンスインザダーク産駒をボックスで買ってみたが、結果は
9、10、13、15着。……まあ、データは絶対ではないし、まだまだ夏は長い。8月は始まったばかりだ(笑)。