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帰国子女が得意の英語の授業で人気者、みたいなレースだった
文/編集部

「好きな食べ物でも、毎日食べ続ければ飽きてくる」と言われる。まあ、確かにそうですね。

「美人は三日で飽きる」とも言われる。いや、そうかあ!? 私は1ヶ月はもつ自信がありますが(笑)。

「札幌開催も、22日間もやれば飽きてくる」。そういう声が聞こえても良さそうなくらいに今年の札幌開催はロングランが続いているわけだが、レースがあればあったで、ついつい馬券を買っちゃいますよね。

確かに、「もう500万のダート1700mはいいだろう」と思うのも事実だが、芝のレース、しかも短距離戦となると、毎度同じような顔ぶれなのにワクワクしてしまう。それは、毎度結果が異なり、波乱が起きやすいからに違いない。

今年のキーンランドCの出走馬16頭のうち、前走でUHB杯(8月2日・札幌芝1200m)に出ていた馬は9頭函館スプリントS(7月5日・札幌芝1200m)に出ていた馬は5頭いた。

それだけ出走メンバーが重なり、同じコースで走るとなれば、力量差がはっきりして堅い決着も起こりそうなものだが、函館スプリントS1→8→12番人気の順で決着し、UHB杯6→10→8番人気だった。今回のキーンランドC2→13→1番人気で、2位に入線したのは12番人気の馬だった(8着に降着)のだから、「札幌芝1200m戦は一筋縄で収まらない」という思いを強くした人も多いことだろう。

ただ、その一方で、今回のレースでは、「見せつけられた」部分もあった。優勝したのが、函館スプリントSにもUHB杯にも出走していないビービーガルダンだったということだ。

同馬は昨夏に函館札幌で連勝を飾り、キーンランドCでは0秒1差の2着。札幌と函館の芝では[5.3.1.1]という無類の強さを見せていて、今年も函館スプリントSUHB杯に出走してくればチャンスが大きかっただろうに、それには目もくれず。今年は、明らかに目標が別のところにあることを示す臨戦過程だった。

過去のキーンランドCでは休み明けの馬の成績があまり良くなく、ビービーガルダン4ヶ月ぶりの出走が気になったわけだが、終わってみればむしろリフレッシュしていたような気すら起こさせた。たとえ目標が違っても、そもそもの地力にも差があったということか。

例えるなら、1時間目の英語の授業に、遅刻すれすれでやってきたカッコいい帰国子女の男が、先生の質問にペラペラ答えて、女子の人気独り占め、みたいな感じでしょうか(笑)。

レース後、鞍上の安藤勝騎手「スプリンターズSを目標にいいスタートが切れました」と話していた。おそらく、今回は勝ち負けにはそれほどこだわっていなかったと思われるが、それでも他馬とは1馬身以上の差が付き、ビービーガルダンが昨年以上に力を付けていることを証明してみせた。

今年の札幌開催は来週(9月5&6日)が最後で、再来週からは中山&阪神(&新潟)に舞台を移す。G1戦線に向けての前哨戦が本格的にスタートするわけで、今度は他のトップスプリンターたちが始動してくるはずだ。

迎え撃つ形になるビービーガルダンも、叩き2~3戦目でさらに調子を上げる腹づもりだろうから、今後もスプリント路線は激しい戦いとなるだろう。

今回のキーンランドCで敗れた馬の中にも、平坦より急坂コースの方が合う馬もいるだろうし、今回は不利を受けた馬もいた。「英語じゃ帰国子女には敵わないけど、古文なら負けないぜ」という気概で、ビービーガルダン他に再度戦いを挑んでいってもらいたいものだ。

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