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BTC近辺の育成牧場の出身馬がレースを盛り上げた
文/村本浩平

札幌2歳Sのパドックは、さながら浦河・BTC近辺で育成牧場を営む、関係者の会合の場となっていた。

ベビーネイルを育成してきた山口ステーブルの山口代表が、「いい馬体です。力は出し切れると思いますよ」と笑顔を見せれば、ロードシップを育成してきた吉澤ステーブルの廣島場長は、「この舞台にオーナーや馬主さんから預けてもらった馬を送り出せたのは仕事の励みになります」と話す。

このレースに育成馬こそ出してはいないものの、パドックの馬に鋭い視線を送っていたディアレストクラブの高樽代表もその二人の中に入ってきて、「山口君のところも吉澤さんのところも、いい勝負ができそうですね」とお互いの肩を叩いてエールを送る。

今年の2歳戦を沸かしているのは、こうしたBTC近辺の育成牧場で手がけられた馬たちである。この攻勢の理由について、屋内坂路に代表される多彩な施設があるからと揶揄する声もあるが、実際のところは施設の周りに厩舎を備えた牧場同士が、時には仲間として情報交換をはかることもあれば、時にはライバルとして切磋琢磨しているところ。BTCを美浦や栗東といったトレーニングセンターにたとえるとするなら、その近辺の育成牧場は結びつきの深い厩舎とも言えるだろう。

昨年、阪神競馬場でデビュー戦を飾り、このレースでも1番人気に応えたロジユニヴァース。そのダービー馬を彷彿とさせるローテーションを選んだダノンパッションが1番人気となり、2番人気は吉澤ステーブルの育成馬であるロードシップ、そして新馬戦、クローバー賞を連勝したサンディエゴシチーが3番人気の支持を集める。ただ、パドックを歩いていた2歳馬の中で、もっとも注目していたのは4番人気のモズだった。

この馬の育成もまた、BTCを利用するシュウジディファーム。石川代表は函館2歳Sで2着となったキョウエイアシュラも手がけているが、その石川代表から、「潜在能力の高さでは、この世代でいちばんかもしれません」と言われていたのがモズだったからだ。

石川代表はBTC会合の場には入らず、少し離れたところでモズを見続けていた。その真剣なまなざしからは「今度こそ勝ちたい」という強い意志が読み取れたような気がした。

レースはブルーソックスが先手を奪い、モズはスタートのあまりの良さに引っ掛かり気味の走りを見せたが、「折り合ってからは集中して走ってくれた」と鞍上の吉田稔騎手が話していたように、前の馬を射程圏内に捕らえる位置でレースを進めていく。そのすぐ横にはサンディエゴシチーの姿があり、1番人気のダノンパッションは後方に待機していた。

1000m通過が61秒7と平均ペースで流れる中、カネスフォルテロードシップが動き出す。ここで一気に馬群は詰まり、直線では横一線となる中、最内を回ってきたサンディエゴシチーモズがその集団から一気に抜け出す。

「追ってからの反応が良かった」とレース後に話していた藤岡佑介騎手の仕掛けに応えるように、直線でグイっと伸びたサンディエゴシチーモズの追撃を振り切って優勝。3着にはスタートで出遅れたものの、上がり3ハロンではメンバー中最速の脚を使って追い込んできたアーバンウィナーが入った。

レース後、いつものように温和な表情を浮かべていた石川代表に、「函館2歳Sに続いての2着ですが、改めて育成牧場としての実力を見せてもらったような気がします」と話を向けると、「いや、自分やスタッフに運があったからこその結果だと思います。それだけに牧場全体で実力をつけて、次こそは重賞を勝てる馬を送り出さなくてはと思いました」とパドックで見た真剣なまなざしを浮かべた。

モズからの狙いで馬券を的中させ、気分良く次のレースを買いにいこうと思った時、函館2歳Sでもお会いしたカメラマンの須賀秀晴さんに声をかけられた。

「村本君、3着のアーバンウィナーはグローバルにいたって知ってた?」

グローバルといえば、函館2歳Sの勝ち馬であるステラリードの育成牧場。その須賀さんの言葉に、来年の2歳取材は、自分の馬券のためにもより一層頑張らなくてはとの思いを強くした。

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