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故障した甲子園優勝投手が先発ローテーションの一角に復活した
文/編集部

今年の朝日チャレンジCには、クラシックウイナーが登場した。昨年の皐月賞馬キャプテントゥーレが出走し、1番人気を背負うことになった。

朝日チャレンジCに3歳G1ウイナーが出走したのは、04年のノーリーズン(02年皐月賞馬)以来。それ以前は古い記録しかなく、90年に前年のエリザベス女王杯を優勝したサンドピアリスが出走したくらいで、非常に珍しいと言える。

ノーリーズンサンドピアリスは、このレースでは11着(ノーリーズン)と5着(サンドピアリス)に敗れているが、ともに休み明けでの出走だった。これに対してキャプテントゥーレは休み明けだった関屋記念を走り、今回は叩き2戦目。いやが応でもその走りに注目が集まった。

世代の頂点を決めるダービーを含めて、3歳クラシック競走は、すべての競走馬の目標のレースである。だがその一方で、クラシックは3歳という若駒の限定戦であるため、人間の年齢に例えて高校生大会というような言われ方もされる。野球で言えば甲子園大会みたいなものか。

その勝者であるキャプテントゥーレは、クラシックで敗れたり、あるいは出られなかった他の馬たちから見れば、憧れの存在であり、なんとしても倒したい相手でもあるだろう。

G1ウイナーであるキャプテントゥーレが他馬を圧倒するか、それとも古馬になって成長力を見せた馬がキャプテントゥーレを打ち負かすか。今年の朝日チャレンジCは、そこに注目が集まった。

ゲートが開くと、キャプテントゥーレは抜群のスタートを切った。そのまま先頭に立つ勢いだったが、外からコスモプラチナが上がってくると先に行かせて、自分は4、5番手で馬群の内につける。開幕初日の内回りコースで、内ラチ沿いの4~5番手という『黄金ポジション』を確保した。

コスモプラチナはマイペースで逃げ、前半の1000mを61秒0で通過。今回は芝2000m戦で決着タイムが2分0秒0だったので、逆算すると、後半の1000mが59秒0だったことが分かる。後半にペースアップしたレースだったわけだが、実際にレースが動き出したのは3~4コーナーの中間地点だった。サンライズベガが先行するコスモプラチナマストビートゥルーに並びかけ、4コーナー手前では3頭が横並びになる。

キャプテントゥーレの鞍上・川田騎手は、ペースが緩んだことは分かっていたのだろう。先に動いた3頭の直後で追い出しを待つ戦法は取らず、直線入口の手前で外に出し、不利を受けずに力でねじ伏せるようなレースを仕掛けた。

そのまま実績通りに押し切るかと思われた時、外から襲いかかってきたのが、唯一の3歳馬ブレイクランアウトだった。同馬は、道中は中団につけていたが、4コーナー手前くらいから外を回って動き、直線入り口ではキャプテントゥーレを見るようにして伸びてきていた。

直線半ばではキャプテントゥーレブレイクランアウトが併せ馬の形になり、勢いはブレイクランアウトの方に分があるようにも思えた。事実、一瞬だがブレイクランアウトが交わしたようにも見えたが、ここからキャプテントゥーレは渋太かった。ゴール手前でもうひと伸びする二枚腰を見せ、ブレイクランアウトをクビ差振り切ってみせた。まさにクラシックウイナーの底力や意地を見た思いだった。

鞍上の川田騎手は、レース後、「(ゴール前は)ドキドキしましたね。最後はG1馬の意地で頑張ってくれました。勝って賞金を加算できたことも大きいですし、今後もアクシデントがなく、無事にいってくれたらと思います」と愛馬を褒めた。

ただ勝つだけではなく、今回のキャプテントゥーレの勝利は、完全復活を印象付ける内容でもあったと言えるだろう。前述の例えなら、プロ入りと同時にケガをした甲子園優勝投手が、先発ローテーションの一角として復帰したというところか。今後のG1戦線で、ウオッカドリームジャーニーなどの4番打者相手に、どのようなピッチングを披露してくれるだろうか。

2着に入ったブレイクランアウトは最後に差し返されたものの、こちらは3ヶ月の休み明けで、内容は勝ちに等しい走りだった。今春にはNHKマイルC9着ダービー15着と辛酸をなめたが、その鬱憤を晴らし、再びスター候補に名乗りを挙げたと言えそうだ。

これまでの朝日チャレンジCは3歳G1ウイナーの出走こそ少なかったものの、02年にはここで初重賞制覇を飾ったタップダンスシチーがその後に飛躍し、昨年は2歳王者だったドリームジャーニーが勝利を挙げて今年G1・2勝目(宝塚記念)をマークした。近年は飛躍のステップとなりつつあるので、キャプテントゥーレブレイクランアウトの今後にも大いに期待が持てるのではないだろうか。

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