東京で負け知らずの馬を負かしたのは、何度も負けて成長した馬だった
文/編集部
昨年、3歳クラシックを戦った、いわゆる
「ディープ世代」がここには6頭出走していた。
圧倒的な1番人気に推された
マチカネキララは、
サンデー産駒の藤沢和ブランド。母も牡馬に混じって京都4歳特別を制した活躍馬だった。
デアリングハートもサンデー産駒で、
桜花賞3着、NHKマイルC2着の実績がある馬。
同じくサンデー産駒の
ペールギュントは、
桜花賞2着のツィンクルブライドの仔で、すでに重賞2勝。
コンラッドはラジオたんぱ賞勝ち馬のダンスインザダーク産駒で、おじに
米国G1勝ち馬がいる血統。
ダンスインザモアもダンスインザダーク産駒で、
スプリングS勝ち実績がある。
サンデーサイレンスの直仔、またはその系統を継ぐ馬たちは、
ジャラジャラとブランドや肩書きをぶら下げたタイプだった。
その中にあって、マヤノトップガン産駒の
トップガンジョーは……02年7月の北海道当歳市場で
650万円で購買。初勝利を挙げるまでに6戦を要し、スプリングS3着で皐月賞出走を果たしたものの、10着に惨敗。その後は、
福島・新潟・中山・東京・京都・中京・小倉と渡り歩いて、条件戦をコツコツと突破してオープンクラスに返り咲いた馬だった。
エプソムCは開催最終日の荒れ馬場に加えて、朝から雨が降り続き、
相当に重い馬場となった。最内枠の
マチカネキララは、悪い内側を避けるように直線に向くと進路を馬場の中央に取る。そこに待ち受けていたのが
トップガンジョーだった。
2頭は馬体を併せると、激しい叩き合いを演じた。ともに
初重賞制覇がかかっている。互いに
磨り潰すような叩き合いを続けると、最後はトップガンジョーがマチカネキララを競り落とした。トップガンジョーが勝ったのは、
馬場適性か、
豊富なキャリアか、それとも
根性だったか。
東京で負け知らずの馬を負かしたのは、
何度も負けを経験して成長した馬だった。