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チアフルスマイルの本質を思い出させてくれたキーンランドC

『Life CARD』のCMのマドンナ編。

故郷で、10年ぶりの同窓会に出席したオダギリ(オダギリジョー)は、かつてのマドンナ(桜井幸子)と再会する。一次会が終わり、オダギリとマドンナには微妙な距離感が。戸惑うオダギリ……。

みなさんも一度はご覧になったことがあるかと思うが、なかなかどうして、印象深いCMである。

CMの趣旨は別にあるのだろうが、“あの時の思い出が鮮明に蘇る”という点では、キーンランドCを制したチアフルスマイルをどうしても連想してしまう。

チアフルスマイルを初めて見たのはちょうど3年前。03年8月30日の札幌4R(3歳未勝利、芝1200m)だった。

経験馬に混じっての初出走。池江泰郎厩舎のサンデーサイレンス産駒だけに、素質馬だろうとは思ったが、初レースでいきなり1番人気。

期待疑惑の念が交錯したが、レースぶりはただただ驚嘆するばかりだった。鞍上のデザーモ騎手に導かれ、直線では弾かれた弓のように伸びて、7馬身差の圧勝。勝ち時計の1分9秒6は、2歳馬のコースレコードに匹敵する。

それはまさに、鮮烈以外の何ものでもなかった。

「きっとスプリント戦線を賑わせる存在になる」

レース後、そう直感した。ところが、チアフルスマイルはその後、活躍の場を芝1200mではなく、マイル~中距離に求めていった。

05年中山牝馬S 3着
05年愛知杯 2着
05年クイーンS 3着
06年京都牝馬S 2着

重賞ではいつも善戦止まり。初重賞制覇は近くて遠い。いつしか自分の中も、芝1200mで輝きを放っていたチアフルスマイルが風化していった。「スプリント路線を賑わせる存在」という自分の言葉とともに……。

チアフルスマイルにとって、キーンランドCは、2年ぶりとなる芝1200mへの出走でもあった。

「あの頃の輝きを取り戻せるのか」

そんな感傷が頭をよぎったが、思考の大半を占めたのはシーイズトウショウとその他の馬について。ところが、キーンランドCを制したのは、原点で目映い光を放ったチアフルスマイルだった。直線大外から弾けて、女王シーイズトウショウを差し切り。勝ち時計は、古馬のコースレコードタイとなる1分8秒4

見失いかけていたチアフルスマイルの原点と今が、自分の中ではっきりと繋がる。

テン3Fは33秒5、自身の上がり3Fは33秒9。久々の1200mの流れに苦労するところもなく、弓のように弾けてみせた。

「間違いない。本質はスプリンター」

再び、『Life CARD』のCMの話になるが、店を出たオダギリが出したカードは「相手次第」。一方、マドンナが出したカードは「冒険」「友情」「封印」

3つの選択肢をちらつかせるマドンナを今後のチアフルスマイルとするなら、「短距離」「マイル」「中距離」といったカードで揺さぶりをかけてくるか。

だが、迷うことはない。選ぶカードはただひとつ。

10月1日、スプリンターズS。凱旋門賞のディープよりひと足先に、大外一気で決めてくれ。

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