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まぶしすぎるぜ、アストンマーチャン

“アストンマーチン”ならぬ“アストンマーチャン”英国高級車に似たその名前は、馬名の由来が「サーキット名(アストン)+愛称」なので、おそらく、馬主である戸佐眞弓氏の愛称なのだろう。まあ、アストンマーチン自体が、同じ命名の仕方(サーキット名+創業者名マーチン)ではあるのだけど。

アストンマーチンといえば、映画007シリーズに登場する“ボンドカー”が有名。ボンドカーとは、ショーン・コネリー扮する主人公のジェームズ・ボンドが愛用する車のことで、機関銃ロケットランチャーを搭載してたり、煙幕が飛び出したり、果ては水陸両用になっちゃったりと、“単なる走るだけの車ではない”のがウリだった。

アストンマーチャンは、そんな物騒な手をいっさい使わずに小倉2歳Sを圧勝した。当たり前だけど(笑)。

スタート直後から馬場のいい外目を走れる枠順が良かったこともあるのだろうが、それにしても素晴らしいスピードだった。ハナを切って逃げたのはストラテジーだったが、行こうと思えばいつでも交わせるほどの手応えで、現時点での能力・完成度は抜けていた。

まだまだ2歳夏の時期なので“単なる走るだけの馬”という感じではあるけれど、逆に言えばそれでいて重賞制覇を成し遂げたのだから、これからキャリアを積んだらどうなるのか。

1200~1800mの距離をこなした父(アドマイヤコジーン)のように距離延長にも対応できそうだし、芝とダートで勝ち鞍を挙げた母(ラフリングカプス)のようにダートもこなすかもしれない。

それこそ“多彩な武器”を搭載したボンドカーに変身しそうな魅力がある。

これが産駒の初重賞制覇となったアドマイヤコジーンは、ご存じ98年の2歳牡馬王者にして02年の最優秀短距離馬

03年に種牡馬入りし、その年のお披露目(種牡馬展示会)の時に、社台スタリオンステーションの徳武氏が「ノーザンテーストの肌のアドマイヤマカディをアメリカに連れて行き、コジーンを配合するという、競馬ゲームでもできないようなこだわりの配合」と説明していたのを思い出す。

馬体は白くてそれほど大きくなく、目もクリッとしていて、見た目は本当にかわいい感じなのだが、その卓越したスピード能力は産駒にも存分に伝わっているようだ。こだわりの配合は、種牡馬としての未来も明るく照らしている。

種牡馬も初重賞制覇だが、鞍上の鮫島良太騎手も、これが重賞初勝利だった。デビューした昨年は16勝だったが、今年はここまで42勝。関西リーディングで“もうすぐトップ10”の位置まで躍進している。関西からまたひとり、乗れる男が登場した。

馬は2歳で、種牡馬は10歳ジョッキーだって19歳。全部足しても、オレの年齢に届かないじゃないか(笑)。老成された馬券オヤジには、まぶしすぎる初物づくしの重賞だった(笑)。

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