ダンチヒ系の長所が活きる展開となったことが勝因
京成杯オータムHを制した
ステキシンスケクンは、父が
ダンチヒ、母父が
ミスタープロスペクターという血統構成。これをひっくり返すと、
関口房朗氏の所有馬として
ケンタッキーダービーを制した
フサイチペガサス。
ダンチヒ、
ミスタープロスペクターは世界中にその血を広めており、つまりは、世界的に見ても良血と言える配合である。
一方、2着の
カンファーベストは父
アンバーシャダイ、母父
シンザンという血統構成。
アンバーシャダイは、日本の種牡馬絵図を塗り替えた
ノーザンテーストの初年度産駒。
シンザンは、
史上2頭目の三冠馬(64年)であることは周知の事実だが、種牡馬としても
ミホシンザン、
ミナガワマンナといったクラシックホースを世に送り出した。つまり、
カンファーベストは日本的見地で見れば、十分、良血と呼べる配合である。
ダンチヒは1977年生。アメリカ出身。2004年に種牡馬を引退し、今年の年頭、老衰のためこの世を去った。産駒は来年デビューする世代が最後となる。
アンバーシャダイは1977年生。北海道早来町出身。2002年に種牡馬を引退し、いまは余生を送っている。
活躍の場は世界と日本という違いこそあれ、同年代のその父の仔が、現役馬は数えるほどしかいないその父の仔が。
京成杯オータムHという重賞で
ワンツーを果たす。確率的に、再びワンツーをすることは際めて低いだろう。そう思うと、この運命的な交差に対して、どうしても感傷的になってしまう。自分が1977年生まれの同世代ということもあるが。
それにしても、
皐月賞12着、
NHKマイルC17着、
アイビスサマーダッシュ12着。近3走で二桁着順が続いていた
ステキシンスケクンの一変ぶりは、
いかにもダンチヒ系という感じだった。
98年1着のシンコウスプレンダ(父デイジュール)、02、03年と連覇したブレイクタイム(父デインヒル)など、京成杯オータムHは高速決着になりやすいため、ダンチヒ系の強さが際立っていたのだが、今年もその傾向通りの結果となったわけである。
ステキシンスケクンが逃げたラップは……
12.4
11.1
10.8
11.0
11.4
11.8
11.6
11.9と11秒台のラップが続く平均して速いペース。これもまた、ダンチヒ系が得意する流れ。
ブレイクタイムが勝った02年は2着もダンチヒ系のミデオンビット(父アジュディケーティング)だったが、その時のラップも……
12.5
10.2
11.2
11.9
11.8
11.6
11.0
11.7と11秒台のラップが最後の1Fまで続いていた。騎乗した
後藤騎手が血統的な特性を考慮して逃げを打った? いや、それは考えにくい。だが、
ステキシンスケクンの持ち味を活かそうと騎乗した結論が、逃げであり、11秒台のラップであったということだろう。
他馬に絡まれて気分を損なえば派手に負けたり、今回のように自分のペースで競馬ができれば強い競馬をしたり。ステキシンスケクンは今後も、
起伏の激しい戦績を積み上げていくかもしれない。だが、それでこそダンチヒ系。そういう良いところも悪いところも含めて、
ステキシンスケクンなんだと思って付き合っていけばいい。