ハイセンスの馬と名手のコンビは美しい
逃げ込みをはかる
シェルズレイ、追い込んでくる
アドマイヤキッス。
クビ差交わしたのが
チューリップ賞で、
ローズSは
半馬身差。差はわずかだが、今回もキッチリと勝利をものにした。
例年の
阪神競馬場とは違い、今回は
中京競馬場での開催。最後に坂がなく、
平坦小回りの芝2000mということ、しかも開催2週目で絶好の馬場状態でもあり、有力各馬は比較的前へ行く形となった。
1コーナーを回る頃には
フサイチパンドラが口を割る。2コーナーを過ぎたあたりでは
シェルズレイが掛かり気味になりながら先頭へ。
そんな中、
アドマイヤキッスはどこへ行った? スタートがそれほど速くないのんびり屋さんだが、ゆっくり出てもすでに好位の内へ潜り込んでいた。
7枠13番と決して恵まれた枠順ではなかったが、1コーナーを回る頃には、すでに、オレンジ色の帽子が黄色や青色の帽子よりも内側にいる。
これぞ名手・武豊騎手の見えないファインプレー、と言ってしまえばそれまでだが、それが
できる馬と
できない馬がいることは覚えておきたい。
アドマイヤキッスはそのまま内ラチ沿いをピッタリと回り、4コーナーも最内を抜け、2000mをロスなく走り切った。
3歳牝馬の休み明けで、中京競馬場は初めて訪れた地でもある。
シェルズレイや
フサイチパンドラのように、テンションが上がりやすくなるのが普通だ。
対して
アドマイヤキッスは、鞍上の言うことを聞いて控え、馬群の中でもリラックスして走り、ゴーサインとともに加速。
センスの高い馬と
それを引き出す名手のコンビは、美しいとさえ言える走りを魅せた。
中京芝2000mの重賞は、
サンデーサイレンス産駒にとって鬼門だった。これまで63頭が挑戦し、勝ったのは
金鯱賞の
サイレンススズカと
中京記念の
マチカネオーラだけ。そこへ3頭目の勝利馬として名を刻んだ。
今回のローズSは、1着から4着までが、
オークスでひと桁着順だった馬。ひと夏を越しても、勢力図に変化はなかったと言える。敵はやはり、
ぶっつけで本番へ挑む無敗のオークス馬と
アメリカンオークス2着からの帰国子女か?
武豊騎手はこれでローズSは15戦5勝となったが、勝ち馬の次走はこのような成績になっている。
88年
シヨノロマンエリザベス女王杯 2着89年
シャダイカグラエリザベス女王杯 20着
98年
ファレノプシス秋華賞 1着03年
アドマイヤグルーヴ秋華賞 2着05年
エアメサイア秋華賞 1着レース中に故障発症したシャダイカグラ以外はパーフェクト連対! いやもちろん、桜花賞2着、オークス4着のアドマイヤキッスが欲しいのは、
「優勝」の2文字だろうが。