バランスオブゲームは“人気のサンデー産駒ハンター”
バランスオブゲームが粘り込みを図る。
コスモバルクがガラッと空いた内ラチ沿いから伸びる。馬群から
ディアデラノビアと
エアシェイディ、外目から
スウィフトカレントが襲いかかる。古馬の実力馬同士による、壮絶な叩き合い。
今年の
オールカマーは15頭立てと久々に頭数が揃ったが、晴天で汗ばむ陽気以上に、白熱した、実に見応えある一戦だった。
メジロマントルが逃げる展開となった流れは、前半1000mの通過が
61秒5。古馬の重賞級が揃ったことを考えればスローペースだろう。
ところが、道中のラップを見ると、12.2-
11.9-12.6-12.4-12.4-
11.7-
11.5-
11.6-
11.8-
11.4-12.6。つまり、向正面の後半、3~4コーナー、直線坂下あたりまで、11秒台の平均して速いラップが続いていたことになる。
後半が持続力を問われる展開となり、その中で早めに仕掛けていったのが、
エアシェイディと
ヴィータローザのサンデー産駒2頭だった。結果は5着と7着。逆に、直線入口あたりまで脚を溜め、直線で一気に末脚を爆発させたのが
ディアデラノビアと
スウィフトカレント。結果は3着と4着。
持続力勝負より
瞬発力勝負に秀でたタイプが多いサンデー産駒だけに、
エアシェイディと
ヴィータローザは、
持続力勝負に自ら挑んだことが裏目に出てしまった。また、
ディアデラノビアと
スウィフトカレントは、直線に賭け、
瞬発力勝負に徹したことで上位に食い込めたのだろう。
それにしても、オールカマーは
サンデーサイレンス産駒にとって、相変わらず鬼門だった。さすがに7頭もいれば、勝てないまでも2着はあるだろうと思ったが。これで、中山で行われたオールカマーでは
【0.0.4.15】。サンデー産駒だけ、透明の壁にぶつかっているのかと思いたくなるくらいだ。
一方、オールカマーで重賞7勝目となった
バランスオブゲームは、
中山のG2で
【4.2.0.0】と崩れ知らず。
“G2の鬼”、
“休み明けの鬼”などとさかんにクローズアップされてきたが、そう言われ続けても、結果はきちんと出す。普通、そういうことを言われ始めた途端に、崩れてしまうのがデータなのだが。本当に頭が下がる。
サンデー産駒が不振なオールカマーにあって、
父ノーザンダンサー系は過去10年で7勝を挙げていた。
バランスオブゲームも、父がノーザンダンサー系の
フサイチコンコルド。2着だった
コスモバルクも、父がノーザンダンサー系の
ザグレブ。4頭しかいなかった父ノーザンダンサー系が
ワンツーを果たしたのだから、相性の良さはもはや疑いようがない。
では、
バランスオブゲームと
サンデー産駒の相性はどうなのか。バランスオブゲームが重賞を勝つ時は、サンデー産駒の成績はどうなのか。気になったのでちょっと調べてみた。
■バランスオブゲームの重賞1着時のサンデー産駒成績※()内は人気
●01年新潟2歳S出走なし
●02年弥生賞3着(⑦人)タイガーカフェ
6着(③人)ヤマニンセラフィム
10着(⑪人)ローズキング
●02年セントライト記念2着(
①人)アドマイヤマックス
6着(⑥人)ウインデュエル
14着(④人)アクトナチュラリー
●03年毎日王冠出走なし
●05年中山記念3着(⑦人)アルビレオ
4着(
①人)エアシェイディ
8着(⑨人)ハスラー
9着(⑥人)グレイトジャーニー
10着(⑬人)ロイヤルキャンサー
●06年中山記念2着(
①人)ダイワメジャー
3着(④人)エアメサイア
8着(⑧人)グレイトジャーニー
9着(⑦人)ヴィータローザ
10着(⑪人)ユキノサンロイヤル
11着(③人)ハットトリック
●06年オールカマー3着(⑥人)ディアデラノビア
4着(③人)スウィフトカレント
5着(
①人)エアシェイディ
7着(⑤人)ヴィータローザ
9着(⑨人)メテオバースト
11着(⑧人)タイガーカフェ
14着(⑪人)アルファフォーレス
ワンツーしたのはわずかに
2回。ただそれよりも、1番人気に推されたサンデーを、
4回も負かしているということが驚きだろう。重賞7勝におけるバランスオブゲーム自身の人気は、順に
⑤④②⑤④⑥④番人気。
人気のサンデー産駒ハンターキャッチフレーズとしてはひねり足りない気もするが(笑)、バランスオブゲームを表現するなら、そうなるだろう。ただし、
G1では【0.0.2.12】なので、G2とG3に限定されるが。
ちなみに、バランスオブゲームが重賞で10連対したうち、相手の血統は5回が
父ノーザンダンサー系だった。そういう意味でも、
オールカマーでの相手は、
コスモバルクが有力だったのかもしれない。