大外強襲のドリームパスポートがアグネスデジタルに見えた
負けて強し。
三冠へ向けて視界良好。
月曜日のスポーツ新聞には、
メイショウサムソンに対して、そんな言葉が紙面を飾りそうだ。
ダービー以来4ヶ月ぶりとなった今回は、馬体重が10kg増。レースでも
引っかかる素振りを見せ、向こう正面での
石橋守騎手の背中は弧を描き、手綱はピンと張っていた。
それでも直線に向くと
ソングオブウインドをねじ伏せ、
フサイチリシャールを競り潰した。この力強さは明らかに力が一枚上、
役者が違うことを感じさせた。
ただひとつ。たったひとつだけ、
弱点をかいま見せてしまったのではないか、とも感じる。
外をすっ飛んできた
ドリームパスポートの姿に、
アグネスデジタルを重ね合わせてしまったのだ。
01年天皇賞・秋で、
オペラハウス産駒の大先輩
テイエムオペラオーは、
アグネスデジタルの大外強襲に屈した。あのレース以前、
「テイエムオペラオーに勝つには、馬体を併せずに、離れた外を一気に交わすしかない」との声を複数の厩舎関係者から耳にしていた。その言葉が現実のものになったのが、あのレースだった。
今回の
神戸新聞杯を含め、過去のレースを振り返っても、
競り合いになった時のメイショウサムソンは本当に強い。それだけに、
菊花賞では、今回の
ドリームパスポートのように、
馬体を離しての強襲を仕掛けてくる馬が他にも出現しそうだ。
その戦法で
メイショウサムソンに勝てるだけの力量ある馬がいるのかどうかだが、
菊花賞は誰もがこの馬を負かそうと挑んでくるだけに、
「1対17」の様相にもなりそう。
メイショウサムソンにとっては、
ダービーや今回の神戸新聞杯以上に楽ではない展開が待ち受けていそうだ。その難関を突破してこその
「三冠制覇」とも言えるのだろうが。
勝った
ドリームパスポートは、これで
メイショウサムソンとの対戦成績を
3勝3敗とした。500kgを越える
メイショウサムソンとは50kg差の、どちらかと言えば小さな馬だが、これまで10戦して一度も末脚のキレが鈍ったことがないのは立派の一言だ。
母
グレースランドは
ステイゴールドの半妹。つまり
サッカーボーイのめいにあたる。ちなみに、
オールカマーを制した
バランスオブゲームも同じ牝系の出身で、こちらは母
ホールオブフェームがサッカーボーイのめい。
2頭は他にもリンクする部分があって、
ドリームパスポートが
きさらぎ賞を制した翌々週に
バランスオブゲームが
中山記念を勝ち、今回は
同日重賞制覇を成し遂げた。
今後2頭が歩むのは、
菊花賞と
天皇賞・秋だろうか。
ドリームパスポートのG1成績は
皐月賞②着&
ダービー③着。一方の
バランスオブゲームは、
14度挑戦して
安田記念と
宝塚記念の③着が最高。
G1ではいまいち足りないのか……いや、ちょっと待て。
②着4度、
③着2度を記録しながらなかなか勝てず、
G1挑戦20戦目のラストランでG1馬となった
あの馬も、同じ牝系の出身じゃないか。
ステイゴールド、
バランスオブゲームと同じように、
ドリームパスポートの活躍もまだまだ続きそうだ。