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今年はまさにグローバルな中の歴史的一戦となった
文/近藤健々

今回乗り込んできた外国馬4頭のうちベンバウンを除く3頭は、紛れもなく自国を代表する現役のチャンピオンである。

オーストラリア香港で昨シーズンの最優秀スプリンターに選ばれたのが、テイクオーバーターゲットサイレントウィットネス。例年勝ったり負けたりの繰り返しで低調になりがちな欧州スプリント路線でも、今年G1 2連勝と気を吐いているのが“芝6F王者”の英国馬レザーク

そんな豪州香港欧州の現役最速馬が、日本代表馬と日本で対決する……。これほど垂涎モノのシチュエーションは、過去、ジャパンC史上でもなかったハズだ。しかもこの約9時間後、フランスではディープインパクト凱旋門賞に出走。まったくなんという日なんだ、今日は!

レース開始の約1時間ほど前から降り出した小雨は、海外陣営にとって、まるで恵みのシャワー。その影響も多少あってか、日本代表、高松宮記念を制した春のスプリント王者オレハマッテルゼと、サマースプリントシリーズを制した夏のスプリント女王シーイズトウショウは、伸び脚を欠いて結果9着・8着に終わった。

一方、スタートで好ダッシュを決めたのはサイレントウィットネス。そして、そのピッタリ両側に取り付いた内のテイクオーバーターゲットと外のステキシンスケクン。その後は内外の円周差でテイクオーバーターゲットがクビ差前に出るような形となり、4角までガリガリと雁行。

そんなサバイバルレースになりながらも、残り300m地点で1馬身抜け出したテイクオーバーターゲットはそのまま後続を突き放し、最後は2着に2馬身半差をつけてゴールに飛び込んだ。それは完勝というほかない、恐ろしく強い内容だった。

なお2着には、4番枠からサイレントウィットネスに次ぐ好ダッシュを決めつつも、外3頭の併走を見て4番手に下げ、内で我慢を続けたメイショウボーラーが健闘。3着にはこれまた内を突き、道中後方3番手から末脚にかけたタガノバスティーユが続いた。

グローバルスプリントチャレンジ全体の成績として、勝ち馬はアウェーでの1着により、新たに20ポイントを加算。合計を53ポイントとし、最終第7戦を待たずして早々にシリーズ優勝も決めてみせた。

しかし、3カ国でG1を勝てば賞金100万ドルという追加ボーナスも待っているため、香港スプリントでもテイクオーバーターゲットが再度、全力を尽くしてくるのは必至。

今回内容のある4着で、次は地元での復活を期すことになるサイレントウィットネスと、日本の馬場に苦しんだ7着レザークもこの最終戦への参戦を表明しており、おそらくは日本馬もまた何頭か参戦する運びとなるのだろう。

日本でのドリームレースは終わっても、チャンピオンたちの戦いはまだ終わらない。今年のスプリンターズSは、まさにグローバルな中の歴史的一戦となった。

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