あの巨漢とこの上がりなら勝負になる! ゆけ!香港国際競走!
勝ち時計の
1分45秒5は、
東京競馬場が改装されて以降、もっとも速いものとなった。03年、04年、05年と、過去3年は
稍重馬場だったので、それも当たり前とは言えるけど。
ただ、レースの上がり3Fは、稍重だった過去3年と比べてもあまり変わらなかった。
05年
33秒604年
34秒403年
35秒1今年が
34秒6。むしろ
遅い部類に入る。
最後の1Fのタイムだけ切り取っても、
05年
11秒404年
11秒903年
12秒1今年が
12秒3。
それだけ最後に上がりがかかったのは、
ダイワメジャーが外枠から2番手につけ、逃げる
メジロマントルを
“プッシュプッシュ”したからだろう。
前半の1000m通過は
58秒8だったが、これは過去3年と比べて最速で、03年の
58秒9とほぼ一緒。あの年の覇者
バランスオブゲームと同じように、
ダイワメジャーも上がりがかかる展開を先行して押し切った。
安藤勝己騎手が10分の1秒単位まで計算してたかどうかは定かじゃないが、レース後に
「他の馬どうこうではなく、自分のペースで競馬をしようと思っていた」と話していたのを聞くと、この騎乗が
ダイワメジャーにとっての
好ペースを作り出したのは、間違いないところだろう。
だったら、いつもそういう競馬をすればいいじゃないか、と思いたくなるが、そうならないのが競馬。特に
ダイワメジャーの場合は、枠順というのが大きな要素であるように感じる。
「外枠だったので自分のペースで行けると思っていた」と、これもレース後に
安藤騎手が語っていたが、
ダイワメジャーは
皐月賞を
7枠14番で勝ち、
マイラーズCも
大外枠で制している。
マイルCSと
関屋記念の2着は、ともに
ふた桁馬番の6枠。
外目の枠の方が自分の競馬に徹しやすいという側面があるのだろう。それにしても、
5戦5敗の
東京競馬場で、ここまで鮮やかに勝つとは想像しきれなかったが……。
ダート中距離戦では
「大きな馬なので内枠で窮屈な競馬を強いられたのがこたえた」という敗因をよく耳にするが、500kgを軽く越える巨漢の
ダイワメジャーも、同様のタイプなんじゃないだろうか。今年の
安田記念も
1枠1番で
4着に敗れているし。
ダイワメジャーにとっての
『内枠』と
『外枠』は、例えるなら、
ホンジャマカの石ちゃん(石塚英彦)にとっての
『クイズ番組』と
『食べ歩き番組』みたいな感じか。どちらもそれなりにこなしはするが、
より生き生きするのは後者、ということ(笑)。
近年の毎日王冠覇者は、99年の
グラスワンダーを最後に、日本のG1では勝ち切れないケースが続いている。果たして
ダイワメジャーは、今秋の最大目標をどこに据えるのか。
今回のラップと上がりを眺めると、01年にこのレースを制した
エイシンプレストンと似ているように感じる。プレストンは
朝日杯3歳Sこそ制したが、古馬になってからの国内G1ではマイルCS2着が最高着順だった。ところが、比較的上がりのかかる
香港では、
G1・3勝を挙げる活躍を見せた。
ダイワメジャーも3歳時に
皐月賞は制したものの、古馬になってからの国内G1はマイルCSの2着が最高。
日本の軽い馬場で
極限の上がり勝負になると、分が悪い面が出るのも似ているので、
ダイワメジャーが
“香港マイスター”の2代目襲名ができても不思議ないと思うのだが……。
石ちゃんが香港食べ歩きレポートをするのとはわけが違うのは重々承知(笑)。それでも、年末の
香港国際競走で、
香港馬に負けない巨体を揺すって走る
「大和一流」の姿はぜひ見てみたい。