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超一流のグラスホースが持つ佇まい。カワカミプリンセスは規格外の大物かもしれない
文・関口隆哉

史上2番目の好タイム、さらには49年ぶりの無敗での戴冠となったカワカミプリンセスのオークスは、確かに日本競馬史に残る一戦であったことは間違いないだろう。

ただし、個人的な感想としては、たとえば87年のマックスビューティや97年のメジロドーベルがオークスで示した圧倒的なまでの強さは、カワカミプリンセスの走りからは感じられなかったというのが正直なところではあった。

そんな気持ちが残っていたこともあって、オークス以来5カ月ぶりの出走となる秋華賞のカワカミプリンセスは、いわゆる「危険な人気馬」となる可能性も多分にあると考えていた。

ところが、パドックを周回するカワカミプリンセスの姿を凝視しているうちに、不安視する気持ちはどんどん薄れていき、「こりゃあ規格外の大物かもしれない」という思いを強く抱くようになっていった。

オークスの時から8kg増えた492kgという大柄な馬体は、迫力満点、それでいて歩様の方は、伸びやかかつ軽やかなのだ。まさに超一流のグラスホースが持つ佇まい。

性別、年齢、毛色は違うが、この日のカワカミプリンセスから受けた印象は、スペシャルウィークを一蹴した宝塚記念におけるグラスワンダーの姿を彷彿とさせるものでもあった。

ゲートが開き、ほぼ全馬が横一線の綺麗なスタートを切る。トシザサンサンコイウタといった外枠発走馬たちが先手を取り、ペースは予想以上に速い。

3コーナーを過ぎてからレースが動く。4番手追走のアサヒライジングが一気に差を詰め、上位グループは団子状態。カワカミプリンセスは、鞍上本田の指示に従い、ゆっくりと外に持ち出していった。

残り200mで満を持していたアサヒライジングが絶妙なタイミングで抜け出しを計る。

勝負あったか。

ところが、ここからカワカミプリンセスのとてつもない末脚が爆発する。

アッという間にアサヒライジングとの差を詰め、ゴール寸前で逆転。着差以上の地力の差を見せ付ける形で、5戦全勝の秋華賞馬が誕生することとなった。

キングヘイローは、凱旋門賞馬ダンシングブレーヴと米G1・7勝のグッバイヘイローという欧米のスーパーホースの配合から生まれた超名血馬。カワカミプリンセスは、その祖父と祖母の抜群の能力を、父以上に素直に受け継いだ気がする。

あるいは「ポストディープインパクト」にいちばん近い位置にいるのは、この3歳二冠牝馬なのかもしれない。

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