砂、芝、中距離、短距離。どんな条件にもアジャストしてしまう、まさに『精密機器』
プリサイスマシーン=
精密機器とはよく言ったものだ。
地方競馬でデビューした
プリサイスマシーンは、
川崎と
大井で5戦5勝。まず最初は、
地方での砂適性を見せた。
4歳で中央に転入してからも、はじめはダート戦を使われ、夏には函館・札幌・中山のダート中距離で
3連勝を記録。
ダート馬としての素質の高さを証明する走りだった。
ところが、秋に
カシオペアS(京都芝1800m)へ向かうと、そこで今度は、芝重賞勝ち馬
ダンツジャッジを寄せ付けず快勝。その勢いに乗って、次走では
中日新聞杯(G3、中京芝1800m)も制し、
砂だけじゃなく芝でもイケるクチであることを示した。
まあ、
マヤノトップガン産駒で
母父サンデーサイレンスなのだから、ダートに限らず芝も走れて不思議ないのだが、驚くのは、今年、7歳になってから、また新たな一面を見せていることだ。
5ヶ月半ぶりの実戦となったスプリントG1
高松宮記念で、オレハマッテルゼから0秒3差の4着に健闘。しかもそのレースぶりは、
前半3F33秒7の流れを3番手で追走して踏ん張る、というものだった。
今回のスワンSも、
ステキシンスケクンが作る流れを4番手で追走し、直線で抜け出して凌ぎきった。
勝ちタイムの
1分20秒3も、過去10年のこのレースで5番目のもの。決して時計がかかって台頭したわけではない。
地方の砂から始まって、
中央の砂、
中央の芝、
芝短距離と、次々にチューンナップされて最適化されていく様は、まさに
『プリサイスマシーン』の名にふさわしい。
言ってみれば、
『F1マシン』のような感じか。転戦する各コースの特徴に合わせてセッティングを変えて、ベストタイムを叩き出す。マシンじゃなく、生身の馬がそれをやっているのだから、尊敬に値する。
改めて言うことではないかもしれないが、
プリサイスマシーンは通算31戦で掲示板に載らなかったのは、
たった3度しかない。
その間に走った競馬場は、
札幌、
函館、
東京、
中山、
中京、
京都、
阪神、
川崎、
大井、
高崎、
盛岡、
名古屋の12場。
芝は1200~2000m、
ダートは1400~2100m。
どんな条件(相手)でもアジャストしてしまう懐の深さは、
『徹子の部屋』の黒柳徹子並み(笑)。馬券を買う側も、ヘンな先入観は捨てて向き合った方がいいだろう。
鞍上の
松岡騎手については、ここでとやかく語るのは無粋だろう。せっかく
『日記』がこのサイトにあるのだから、そこで本人の口から語っていただきたい。
松岡騎手は、今週は両日とも
京都競馬場で騎乗していた。土日での騎乗数は
14。14鞍のうち
11鞍が
栗東の馬だった。なにより、その数の多さが、信頼の証だろう。