アストンマーチャンの快走は「馬場の恩恵」だけでは片付けられない
過去の
ファンタジーSの優勝タイムを、速い順に並べると以下のようになる。
1位
1分20秒306年
アストンマーチャン2位
1分21秒296年
シーズプリンセス97年
ロンドンブリッジ4位
1分21秒300年
タシロスプリング5位
1分21秒405年
アルーリングボイス6位
1分21秒604年
ラインクラフト7位
1分21秒798年
プリモディーネ8位
1分22秒199年
テネシーガール9位
1分22秒202年
ピースオブワールド10位
1分22秒601年
キタサンヒボタン03年
スイープトウショウ直線で馬なりのまま5馬身突き抜けた
アストンマーチャンだったが、
優勝タイムでも、歴代の名馬に大きな差をつけている。
もちろん、今開催の京都芝は菊花賞当日にレコードが3つ出ていたように、過去のそれと単純比較するのはナンセンスかもしれない。
それでも、ファンタジーSのひとつ前の
桂川S(1600万、京都芝1400m外回り)に当てはめれば、
アストンマーチャンは4着に走っていた計算になる(4着コスモシンドラーが1分20秒3)。
古馬準オープンにおいて、4着に相当する時計でファンタジーSを制した2歳牝馬
アストンマーチャンの快走を、
「馬場の恩恵」だけでは片付けられない。
イクスキューズの
1分21秒1という走破タイムも、過去10年の勝ち馬を上回るもの。決して悪い内容ではなかったが、いかんせん相手が強すぎた。
1800mの
札幌2歳S(3着)では、最後の最後で脚色が鈍っていた。今回は道中、行きたがる素振りを見せていた面を加味しても、マイルは守備範囲だと思うが、
本質的には1400以下で切れ味を活かしたいタイプなのだろう。
それゆえ、ベストの条件だったはずのファンタジーSで、関東からの遠征というハンデを考慮しても、
アストンマーチャンに
5馬身差をつけられた内容は
完敗と見ざるを得ない。
1番人気の支持を集めた
ハロースピードも、遠征というハンデを乗り越え3着に食い込んだが、
アストンマーチャンに完敗。久々のせいか、行きっぷりはいまいちだったが、後方からよく追い込んだ。
小柄な牝馬だけに、馬体が増加傾向(426→436→440キロ)にある点も好感が持てる。やはり、関東の牝馬の中では現状、
イクスキューズと並んで
屈指の存在と言えるだろう。
その上位3頭はおそらく、次走の
阪神JFで再び相見えることになるはず。
過去10年、ファンタジーSから阪神JFに直行した馬の成績は、着順別に見ると以下のようになる。
1着馬
[1.1.1.5]2着馬
[0.0.2.6]3着馬
[0.0.0.8]過去10年で、
ファンタジーS→
阪神JFを連勝した馬は、02年の
ピースオブワールドただ1頭。のちにG1を制することになる03年
スイープトウショウも、04年
ラインクラフトも、阪神JFでは5着、3着に敗れていた。
至難の業と言える
ファンタジーS→
阪神JFの連勝。今年は
アストンマーチャンが挑むことになるだろう。
父
アドマイヤコジーンは2歳時、
未勝利→
東京スポーツ杯3歳S(現東京スポーツ杯2歳S)→
朝日杯3歳S(朝日杯FS)で3連勝を達成したが、果たして娘は!?
新装・阪神競馬場が味方するのか、はたまた敵となるのか。そればっかりはさすがに、走ってみないとわかりませんね(笑)。