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アストンマーチャンの快走は「馬場の恩恵」だけでは片付けられない

過去のファンタジーSの優勝タイムを、速い順に並べると以下のようになる。

1位 1分20秒3
06年アストンマーチャン

2位 1分21秒2
96年シーズプリンセス
97年ロンドンブリッジ

4位 1分21秒3
00年タシロスプリング

5位 1分21秒4
05年アルーリングボイス

6位 1分21秒6
04年ラインクラフト

7位 1分21秒7
98年プリモディーネ

8位 1分22秒1
99年テネシーガール

9位 1分22秒2
02年ピースオブワールド

10位 1分22秒6
01年キタサンヒボタン
03年スイープトウショウ

直線で馬なりのまま5馬身突き抜けたアストンマーチャンだったが、優勝タイムでも、歴代の名馬に大きな差をつけている。

もちろん、今開催の京都芝は菊花賞当日にレコードが3つ出ていたように、過去のそれと単純比較するのはナンセンスかもしれない。

それでも、ファンタジーSのひとつ前の桂川S(1600万、京都芝1400m外回り)に当てはめれば、アストンマーチャンは4着に走っていた計算になる(4着コスモシンドラーが1分20秒3)。

古馬準オープンにおいて、4着に相当する時計でファンタジーSを制した2歳牝馬アストンマーチャンの快走を、「馬場の恩恵」だけでは片付けられない。

イクスキューズ1分21秒1という走破タイムも、過去10年の勝ち馬を上回るもの。決して悪い内容ではなかったが、いかんせん相手が強すぎた。

1800mの札幌2歳S(3着)では、最後の最後で脚色が鈍っていた。今回は道中、行きたがる素振りを見せていた面を加味しても、マイルは守備範囲だと思うが、本質的には1400以下で切れ味を活かしたいタイプなのだろう。

それゆえ、ベストの条件だったはずのファンタジーSで、関東からの遠征というハンデを考慮しても、アストンマーチャン5馬身差をつけられた内容は完敗と見ざるを得ない。

1番人気の支持を集めたハロースピードも、遠征というハンデを乗り越え3着に食い込んだが、アストンマーチャンに完敗。久々のせいか、行きっぷりはいまいちだったが、後方からよく追い込んだ。

小柄な牝馬だけに、馬体が増加傾向(426→436→440キロ)にある点も好感が持てる。やはり、関東の牝馬の中では現状、イクスキューズと並んで屈指の存在と言えるだろう。

その上位3頭はおそらく、次走の阪神JFで再び相見えることになるはず。

過去10年、ファンタジーSから阪神JFに直行した馬の成績は、着順別に見ると以下のようになる。

1着馬[1.1.1.5]
2着馬[0.0.2.6]
3着馬[0.0.0.8]

過去10年で、ファンタジーS阪神JFを連勝した馬は、02年のピースオブワールドただ1頭。のちにG1を制することになる03年スイープトウショウも、04年ラインクラフトも、阪神JFでは5着、3着に敗れていた。

至難の業と言えるファンタジーS阪神JFの連勝。今年はアストンマーチャンが挑むことになるだろう。

アドマイヤコジーンは2歳時、未勝利東京スポーツ杯3歳S(現東京スポーツ杯2歳S)→朝日杯3歳S(朝日杯FS)で3連勝を達成したが、果たして娘は!?

新装・阪神競馬場が味方するのか、はたまた敵となるのか。そればっかりはさすがに、走ってみないとわかりませんね(笑)。

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