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まさに「3度目の正直」と言える堂々たる勝利だった
文/浅田知広

G1レースを勝つためには、実力はもちろんのこと、も必要だとはよく言われること。

ただ、その「運」の占める割合がどれほどかといえば、レースによって様々だ。

中には、どこをどう分析しても運なんてこれっぽっちもなかったとか、あるいは明らかな不運に見舞われながらも勝ち抜く強者もいる。

しかし、ケガがつきものの競馬の世界。

そのG1という舞台へ、無事に駒を進められただけでもがあったのは確かだ。

そんなを強く味方に引き入れていたのが、ダイワメジャーの過去2勝、皐月賞天皇賞(秋)である。

まず皐月賞だが、トライアルのスプリングS3着は4着とわずかクビ差

もし出走権を確保できていなければ、今のダイワメジャーはなかったかもしれない、という非常に大きなクビ差だった。

そして本番は10番人気のノーマーク。そんな穴馬の鞍上にデムーロを配せたのだから、これは幸運としか言いようがない。

さらに、1000m59秒7のラップも勝ち時計(1分58秒6)を考えればスローで、終いの粘りに不安があるこの馬でも、直線の短い中山でデムーロの腕ならなんとかなる展開だった。

その皐月賞から約2年半、先日の天皇賞(秋)も展開が大きく味方した。

逃げたインティライミから離れた2番手で、実質的にはスローでハナを切ったのと同じ展開。

にも関わらず、なぜか勝負どころで馬群が団子状態にならなかったのがポイントだ。

有力馬に対して貯金を作った状態で4コーナーをクリアできたとなれば、いくら直線が長くてもこの馬の実力からすれば押し切って当然。

決して運だけではないものの、運の占める割合の高いG1 2勝だったのである。

さて、今回のマイルCS。昨年はほとんど勝ったかというところを、ハットトリックの大外強襲に遭い2着に敗退したレースだ。

「ハナ差は騎手の腕」という人もいるが、それと同じくらい「ハナ差は運」という面もある。

を味方にできず敗れたレースに再挑戦、今年は運がある、とまではいかなくとも、ごく「普通」なら?

結果は明白、今度は見事なまでのG1 3勝目。

過去2勝とは違い、断然の1番人気でマークされる厳しい立場でのG1制覇は、まさに「3度目の正直」と言える堂々たる勝利だった。

クラシックの一角である皐月賞や、春秋併せて100回を超える歴史のある天皇賞と比べてしまうと、同じG1でも格としては見劣りの否めないマイルCS

しかし、ダイワメジャーという馬の格を「G1 3勝馬」という実績に相応しい高みへと導いたのは、皐月賞でも、天皇賞(秋)でもなく、このマイルCSだったのは間違いない。

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