キングマンボの系統は、大一番での勝負強さに末恐ろしいものがある
文/浅田知広
競馬の世界、
1着と
2着で明暗が分かれるのは当たり前。しかし、これほどまでにくっきりと差が出るのも珍しい。
かたや未勝利勝ちからわずか5戦目、5連勝でのG1制覇・
アロンダイト。かたや、なんとダートG1 9度目の2着・
シーキングザダイヤ。
この2頭、デビュー当初の成績だけを見ると、とてもここまで差がつくとは想像し難いものだ。
アロンダイトがデビューしたのは昨年10月。芝のレースを使われて8、11着。休養を挟み3戦目からダートに転じ、
4戦目からの5連勝である。
一方、
シーキングザダイヤのデビューは03年12月。初戦こそ5着に敗れたものの、
2戦目から5戦目まで重賞2勝を含む4連勝だ。
その後、5連勝を賭けた
NHKマイルCで2番人気7着、ヨーロッパへ遠征し
ジュライC、
モーリス・ド・ゲスト賞と計3連敗を喫する回り道をしたものの、帰国してダート戦線に転じると2戦目の
兵庫ゴールドTを勝ち、続く
川崎記念ではG1で最初の2着。この段階でもまだ4歳春なのだから、数あるG1をここまで勝てないとはとても思えなかったものである。
こうして振り返ってみると、
シーキングザダイヤ最初のG1挑戦だった
NHKマイルCの優勝馬・
キングカメハメハの父が、
キングマンボだったことにふと気づく。
アロンダイトの父は、その
キングマンボの代表産駒・
エルコンドルパサーだ。
この系統の
大一番での勝負強さは末恐ろしいものがある。
デビューからわずか1年弱でG1 2勝を手みやげに、疾風のようにターフを去ってしまった
キングカメハメハ。
国内G1無敗、フランスでサンクルー大賞まで制した
エルコンドルパサー。
そして、イギリスからやってきてサクっとジャパンCをかっさらった
アルカセットに、超一流とは言えないながらチャンスをモノにして東京大賞典のタイトルを手中にした
スターキングマンと、ここまでが
キングマンボ産駒。
エルコンドルパサー産駒も、今秋には
ソングオブウインドの菊花賞、そして今回の
アロンダイトがG1初挑戦での優勝だ。
当然、
アロンダイトにも諸先輩に続くような、さらなる飛躍が自然と期待されるもの。
現時点では出否未定も、
来年のドバイあたりでもう一度大仕事をやってのけても、まったく不思議はない。
もちろん、
シーキングザダイヤの挑戦も続いてゆく。これだけ実績を残していると高齢馬と勘違いしてしまいがちだが、まだまだ5歳秋の働き盛り。
ダート路線は特に、高齢まで活躍する馬も多く、残念ながら骨折で引退に追い込まれた
タイムパラドックスは8歳だった。
マイルから中距離まで、どこへ遠征しても堅実に走り、そしてレースではライバルに交わされても必死に食い下がろうとする姿を見ていると、
「頑張っていれば、きっといいこともあるんだから」と言いたくなってくる。
最近、様々なスポーツを見て
「元気をもらった」などと言うのが流行っているようだが、もらっているばかりではなく、こういった馬を後押しする声援を送り続けるのも悪くはないだろう。