パッツンパッツンのペースが、スタミナ豊富なアイポッパーに味方した
12度目の挑戦で、ついに
アイポッパーが重賞ウイナーとなった。
前走の
アルゼンチン共和国杯(重賞挑戦11戦目)では、
重賞挑戦12度目の
トウショウナイトにクビ差だけ競り負け、
「1戦分の差か」と記したが、次走のここで本当に優勝するとは。競馬って不思議なものだ。
レース内容は、まさに
『完勝』だった。スタートしてすぐに3番手に取り付くと、そのまま
ペリエ騎手の手綱は緩むことなく2周走り、直線に向くと楽に抜け出した。
休み明けからの
叩き3戦目で状態が上がっていたこともあるのだろうが、ペースが一度も緩まず、淀みなく流れたことも向いたのだろう。
1000m通過は
61秒5。これは、ほぼいつものステイヤーズS通りだった。しかし、例年だと2周目に入って一度ペースが緩むのだが、今年は違った。
1F(200m)ごとのラップタイムを見ると、一度も
13秒台がなく、3600mを走りきっている。そんなことは、過去20年を見ても、一度もないのだ。
最初の1000mが
61秒5で、次の1000mが
62秒8、その次の1000mも
62秒8。全然緩んでない。
メジロコルセアが作り出したペースは、
新品のパンツのような締め付け具合だったのだ(笑)。
1着
アイポッパーと2着
トウカイトリックの差が
3馬身で、2着
トウカイトリックと3着
チェストウイングの差が
3馬身半。
障害レースのようにバラバラで入線したことが、いかに厳しいペースのスタミナ比べだったかを物語っていた。
こんなペースになれば、菊花賞馬を2頭輩出している
サッカーボーイの血が唸ろうというもの。
アイポッパー自身、天皇賞・春で3、4着の実績もあるしね。
それにしても、
サッカーボーイという種牡馬は、素晴らしいものだ。今回の勝利でJRA重賞は23勝目、重賞ウイナーは11頭目。94年の
朝日CC(
ツルマルガール)が最初の重賞勝ちで、それから10年以上に渡って重賞勝ち馬を輩出しているのだから。
自身は
阪神3歳S(G1、阪神芝1600m)を勝ち、
函館記念で芝2000mの日本レコード(当時、1分57秒8)を樹立した
スピードタイプだったが、産駒は
スタミナに秀でたタイプが多い。この辺が血統の面白さではあるけれど、サッカーボーイ産駒は大きい馬も小さい馬もいるところがまたユニーク。
菊花賞を制した
ナリタトップロードと
ヒシミラクルは、前者が500kg近くあり、後者が450kg台だった。他にも、
キョウトシチーや
ブルーイレヴンなど500kgを越す馬がいる一方、430kgを下回る
ゴーゴーゼットや
ティコティコタックなども輩出している。
アイポッパーは450kg台なので小柄な部類に入るが、こうして、大きく出ても小さく出ても活躍するというのは珍しいものだ。でっかくてもちっちゃくても、長距離が得意というのが、またかわいらしくもある。
アイポッパーは、今後順調なら
有馬記念へ向かうという。そういえば、
スピードタイプと言われながら88年の
有馬記念に挑戦した
サッカーボーイは、
オグリキャップ、
タマモクロスに次ぐ3着でしたなあ(3位入線の
スーパークリークが失格となったため繰り上がった)。
今回と同じような淀みない流れになれば、
親父が残した借りを息子・アイポッパーが返す、なんてこともあったりして? そうするためには、急いで
メジロコルセアに出走交渉をしに行った方がいいかもしれません(笑)。