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新コースがウオッカに味方したが、最後のひと伸びは力強かった
文/安福良直

タニノギムレット産駒ウオッカアドマイヤコジーン産駒アストンマーチャン。今年の阪神JFは、新種牡馬産駒同士のワンツーで決まった。

ところでこの2頭の種牡馬、産駒の特徴は正反対に近い。アドマイヤコジーン産駒スピードがあってセンス抜群。完成度も高い。2歳戦が始まるとさっそく勝ち星を量産し、そんな中からアストンマーチャンが出た。

一方のタニノギムレット産駒。こちらは最初、なかなか勝ち馬が出なかった。大物感はあるが、不器用なのか小回りローカルでは不発だらけ。夏までは新潟でしか勝てなかったくらいだ。しかしそんな中から出たのが、大物感たっぷりのウオッカ

他にも魅力的な牝馬が多数出走していたのだが、レースとしては完全に2頭の一騎打ちだった。好スタートから一旦控えて余裕十分に4コーナーを迎えたアストンマーチャン。対してウオッカもいいスタートを切り、アストンの後ろに控えてマークする形。

そして最後の直線に入るが、ここでの2頭の動きが興味深かった。アストン逃げるルミナスハーバーの内に入り、ウオッカは逆にに出した。センス抜群のアストン、破壊力のあるウオッカということを考えれば、このコース取りは当然の成り行きに思えるが、アストンがダントツ人気でウオッカが4番人気だったことを考えると、逆なんじゃないのという気もする。

ただ、これは武豊四位の両騎手が、人気のことは考えずに自分のベストの競馬をしようと思ってのコース取りだったのだろう。特にウオッカが、アストンをマークする競馬を自ら放棄するかのように外に出ていったのは印象的だった。

そして最後は激しい叩き合いになったが、底力の差でウオッカの勝利。長くなった直線と、ゴール前の急坂がウオッカに味方したが、最後のひと伸びは力強かった。来年のクラシックに向けてまだまだ強くなりそうだし、角居厩舎だから海外での活躍も期待していいかも。

ところで、改修されて大幅に変わった阪神の芝1600m。以前の外枠不利はなくなった、と言われていたが、3コーナーから延々続くカーブは意外とクセモノ。ここで外を回らされた馬は直線で伸びず、というシーンが多く、旧阪神とは別の意味で外枠不利と言えるかもしれない。

もっとも今週は開幕したばかりで、内が伸びる馬場ではあったけどね。それを考えれば、外を回って4着にまで追い込んできたローブデコルテは、負けた馬の中ではいちばん強い競馬をしたと言えるだろう。

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