ライバルへの宣戦布告としては十分なレース内容
ここ数年、暮れの牝馬の目標はマイルの
阪神牝馬Sだった。
ところが、
阪神牝馬Sは
ヴィクトリアマイルの前哨戦として春に移され、替わりに
愛知杯が暮れへと再び戻された(かつては父内国産限定レースだった)。
G2から
ハンデのG3へ、
中央場所から
ローカルへ。牝馬の目標の舞台というにはややさびしい設定に。実際、メンバーは小粒な印象。ところがそんな舞台へ、敢えて姿を現したのが
アドマイヤキッスだ。まさに横綱相撲。そんなありきたりな表現をするしかない
アドマイヤキッスの走りだった。
デビュー前からその素質を高く評価され、初勝利までに3戦かかったものの、
チューリップ賞を制して、3歳牝馬クラシック戦線の中心的存在に。
実際、
桜花賞、
オークス、
秋華賞とすべて
1番人気に推されている。だが、あと一歩で勝ち切れず、2、4、4着。その3レースとも道中は後方から進んで、4コーナー付近から進出、直線伸びるも届かずというレースぶり。
そこで前走の
エリザベス女王杯では、鞍上の
武豊騎手が好位からの競馬を選択。すると今度は、これまで自身より前で競馬をしていた
フサイチパンドラ(降着になったが
カワカミプリンセスにも)に差されてしまった。
だが、このレースである程度の感触を得ていたのだろう。
今回、
武豊騎手は積極策を選択した。道中は
2番手集団の内側という絶好のポジションにつけ、直線では早めに抜け出して押し切った。
来年からのG1戦線に向けてその存在感を見せつけるためにも、
トップハンデだろうが、
古馬相手だろうが、
G3で負けているわけにはいかなかったはずだ。
カワカミプリンセス、
フサイチパンドラなど、すでに大きな勲章を得ているライバルへの宣戦布告としては十分なレース内容だったのではないだろうか?