今年の京都金杯は「5秒で勝負アリ!」だった
文/長岡伸治
決して好スタートではなかったが、外めからジワ~ッと促して先頭に立つ。
結果的にはここで楽に先手を取り切れたことが、最後の踏ん張りにつながった。もっと言えば、ここで
「勝負アリ!」だったのだ。今年の
京都金杯、5秒で決着。
マイネルスケルツィ&
柴田善臣騎手が引っ張った流れは、3F通過が
35秒2。稍重の馬場を考慮しても、このクラスにしては緩い。
その結果、1番人気の
キンシャサノキセキは、
安藤勝己騎手が馬上でバランスを崩すほどメンタルを乱され、2番人気の
サクラメガワンダーも、
岩田騎手が背中を丸めてなだめるのに苦心させられた。
先手を取った方が気分よく走り、追いかける方がチグハグなレース。逃げ切られてしまうのもむべなるかな。
ちなみに、
京都金杯を
関東馬が勝ったのが初なら、
東西の金杯を制したのも
柴田善騎手が初だそうな。
初物尽くしだが、これは99年まで東西ともに2000mで行なわれていたため、遠征そのものが少なかったことが最大の理由。さらに、毎年変則開催になる上に雪が降ったりと調整が難しい時期。普段よりも輸送に慎重になるということもあるだろう。
それらを考え合わせれば、なんてことはないような、いや、金杯絡みだけにオメデタイような、なんとも微妙な記録ではある。
勝った
マイネルスケルツィは、昨年の
NZトロフィーの勝ち馬で、これでマイル重賞2勝目となった。おそらく、春は
安田記念を目指すことになろう。
そこで気になるのが、これまで
4走して未勝利という東京適性。しかも、過去に2度だけ喫している2ケタ着順の大敗が、
NHKマイルCと
富士Sと、いずれも
安田記念と同じ
東京競馬場のマイル重賞なのである。
まあ、残りの2走は
新馬戦と
未勝利戦ながらいずれも2着している(しかもその時の勝ち馬が
マチカネゲンジと
ジャリスコライトというそれなりの相手)。物凄く不得手ということはないのだろうが。
さすがに
安田記念ともなれば、そうそう楽な競馬は望めない。そんな中で、いかに気分よく走らせられるか。
ハナを切らなくとも、今回のようにスムースにレースが運べれば、府中の直線を
「インからスルスルと……」なんてシーンがあるやもしれぬ。今日の走りを覚えておいて損はない。