エリートなワイルドとワイルドなエリート。ポップでロックなあの馬に続くことができるか!?
文/編集部
最後の直線に向いて、最内を突いて伸びてきたのは、同じ勝負服、
「トウカイ」の2頭だった。
内に
ワイルド、外に
エリート。前走の
オリオンSでも1&2着となったこの2頭が、G2のここでもワンツーを決めた。
オリオンSでは内に入った
エリートが先に抜け出し、馬場の中央から
ワイルドが迫る形だったが、今回は内外が逆になり、着順も入れ替わった。
それにしても2頭の戦いぶりは、
「どっちがワイルドで、どっちがエリートやねん!」と思わずツッコミを入れたくなるものだった。
先に抜け出しを図った
エリートは、
ワイルドを内に閉じ込めるようにして伸びてきた。一方の
ワイルドは、前が開くのをジッと我慢。
エリートは
赤木騎手の渾身のムチに応えるようにして懸命に走っていたが、過去に2度、進路妨害を取られて
降着の憂き目に遭ったことがある馬。見ているこちらとしては、ハラハラする形だった。
そんな
エリート兄さん(別に血縁関係はないけど)の動きに合わせて、
ワイルドは最後の100mで内をこじ開けて差し切った。
エリートな走りをする
ワイルドと、
ワイルドな走りをする
エリート。
西口に東武百貨店があって、
東口に西武百貨店がある、池袋駅みたいやなあ(笑)。
トウカイワイルドと
トウカイエリートは、今回が重賞初挑戦だった。
54kgと比較的斤量が恵まれたこと、そして、
内をロスなく回ったことが好走につながった面もあるだろうが、それでも現在の古馬長距離路線の顔ぶれを考えると、今後、この2頭に大きな期待をするのも間違いではない気がしてくる。
昨年、
4連勝を飾り、
メルボルンCと
有馬記念で2着となった
ポップロックも、年初は500万条件を走っていた。それが一度勢いが付くと、クラスの壁をモノともしないサンデー(母父)の血が湧き出てきたか、あれよあれよという間にトップホースとなった。
ポップロックが初重賞制覇を成し遂げたのが、G2のハンデ長距離重賞・
目黒記念だった。その時の斤量が
54kg。同じくサンデーの血を持つこの
ワイルドと
エリートが、今後、長距離戦線の主役に躍り出ても、なんら不思議はないだろう。
ちなみに、鞍上の
安藤勝己騎手は、これがJRA重賞通算
44勝目。今回、44度目の制覇にして
“初”だったことがあるのだが、それは何だか分かります? 実は
『1月の重賞勝利』が初なのだ。
これまで1月の重賞は20回挑戦して
[0.3.1.16]だった。今年も、
京都金杯と
シンザン記念で、
キンシャサノキセキと
ダイワスカーレットに騎乗し、ともに1番人気に推されるも、
6着と
2着。その惜敗の歴史に終止符が打たれたというわけだ。
レース名通り
『新春』を迎えた
「トウカイ」の2騎と
安藤騎手。この勢いは次走以降も続きそうだ。