ダービー2着馬を一気に交わす上がり馬。これが現在の勢いの差なのか…
文/編集部
インティライミの気持ちが分かるのは、もしかしたら
エアダブリンと
ボールドエンペラーなのかもしれない。
90年以降のダービー2着馬は、昨年の
アドマイヤメインまでで17頭。長くなって恐縮だが、それを列記してみると、
メジロライアン、
レオダーバン、
ライスシャワー、
ビワハヤヒデ、
エアダブリン、
ジェニュイン、
ダンスインザダーク、
シルクジャスティス、
ボールドエンペラー、
ナリタトップロード、
エアシャカール、
ダンツフレーム、
シンボリクリスエス、
ゼンノロブロイ、
ハーツクライ、
インティライミ、
アドマイヤメイン、となる。
こうしてみると、
「意外にG1馬が多いな」と気づくことだろう。そう、17頭中13頭がG1勝ち馬。しかも、13頭すべてが、ダービー後にG1勝ちを記録しているのだ。
ジェニュインや
エアシャカールなど、ダービー以前にG1馬となっていた馬も、その後に再びG1タイトルを手にしている。
「ダービーでの悔しさをバネに」なんて簡単な話ではないだろうけど、ダービーでの2着は、やはり並大抵の馬ではできないことなのだ。
しかし、もちろん例外はいる。それが
エアダブリン、
ボールドエンペラー、
インティライミ、
アドマイヤメイン。
アドマイヤメインはまだ4歳だから置いておくとして、残りの3頭には、ある共通項がある。何だか分かるだろうか。
それぞれが敗れた相手を思い出してみれば、分かりやすいかもしれない。
エアダブリンの相手は
ナリタブライアン、
ボールドエンペラーの相手は
スペシャルウィーク、そして
インティライミの相手は
ディープインパクト。
なんか
独走の場面が浮かんできませんか? 90年以降のダービーで、勝ち馬と2着馬との差が
5馬身以上開いた年は3回あるのだが、それが
ブライアン、
スペシャル、そして
ディープの年なのだ。
強すぎるダービー馬の前に受けた衝撃が尾を引いている、とは考えられまいか。
前走の
中日新聞杯では、
トーホウアランにインを強襲されて2着に敗れた
インティライミ。今回の
AJCCでは、果敢な逃げを打ったものの、
マツリダゴッホにマクられ、交わされると急減速してしまった。
ダービー2着馬は、
G1を勝たなければ真の復活とは言われない。そんな十字架の重さを感じずにはいられないレースぶりだった。
真の復活には険しい道のりとなっているが、
インティライミはまだ5歳。メンタル面、そしてフィジカル面を立て直して、なんとか頑張ってほしいものだ。G1を獲れるだけの資質の持ち主なのだから…。
一方、重賞勝ち馬たちを相手に圧勝を飾った
マツリダゴッホ。3歳春当時はピリピリした感じで、道中も掛かり気味に追走していたが、2度の休養を挟んで大人になったか、このところ折り合い面に成長を見せている。
今回は少頭数でバラけた展開だったことも奏功したのだろうが、それでもここまで鮮やかな勝利を飾れるのなら、もうワンランク上での活躍を期待しても良さそうだ。
中山芝2200mの重賞を制した
サンデーサイレンス産駒は、確かに、G1ではあと一歩足りないケースが多い。
マツリダゴッホ以前に8頭の
サンデー産駒がここで重賞制覇を成し遂げているが、そのうちG1を勝ったのは、
スペシャルウィークだけである。
しかしその血統を見ると、8頭中7頭が母系に
ノーザンダンサーを持っていた。
「メインレースの考え方」でも記したが、このコースでは
ノーザンダンサーの血を持っているのがベター。
マツリダゴッホはそれを持たずして圧勝したわけで、裏を返せば、
これまで中山芝2200mで重賞を制したサンデー産駒とは、一線を画した存在の可能性がある。
マツリダゴッホの母
ペイパーレインは、
ナリタトップロードの半姉。その父系の中には、ご存じ
リボーの血も流れている。G1で一発を決められても、驚かない準備はしておきたい。