フサイチホウオーは向かい風を軽く跳ね退ける大物であってほしい
文/編集部
1着
フサイチホウオー→父
ジャングルポケット(01年ダービー馬)。
2着
ダイレクトキャッチ→父
スペシャルウィーク(98年ダービー馬)。
4着
ニュービギニング→父
アグネスタキオン(01年皐月賞馬)。
5着
インパーフェクト→父
ナリタトップロード(99年菊花賞馬)。
父にクラシックホースを持つ子供たちが、掲示板に多数名を連ねた
共同通信杯。レベル向上を理由に、JRA賞の
「最優秀父内国産」部門を廃止するか否かの議題が上がるのも頷けるというものだ。
今年は
フサイチホウオーと
ニュービギニングの無敗馬対決が注目を集めたが、ファンの目は節穴ではないということだろう。それは単勝オッズを見れば一目瞭然で、
フサイチホウオー1.4倍、
ニュービギニング3.4倍。
結果も大方が予想した通りだと思うが、結局は
フサイチホウオーが無傷の4連勝を達成し、その強さを改めて浮き彫りにするレースとなった。
関西馬では珍しく、
4戦中3戦が東京芝1800という
フサイチホウオーだが、馬体は
ラジオNIKKEI杯2歳Sから10キロ増で
516キロ。輸送を加味しても、おそらくは先を見据えて余裕残しの作りだったはず。
それでいながら、父
ジャングルポケットの
1分47秒9を0秒2上回る
1分47秒7の好時計をマーク。
父は前半1000m通過が
60秒3、上がり
34秒8。
息子は前半1000m通過が
60秒1、上がり
34秒2。走り方もそっくりだが、時計も似てると言えば似てる。
直線で内の
フライングアップルを競り落とし、外から迫った
ダイレクトキャッチをクビ差抑えて完勝。能力通り走れば、これまで東京コースで戦った相手と再び東京コースで走っても、おそらく負けることはない。ダービーの予行演習はもう十分だろう。
クラシックの登竜門とも言うべき
ラジオNIKKEI杯2歳S、
共同通信杯を無敗で通過し、いよいよクラシック制覇が現実味を帯びてきた
フサイチホウオー。おそらくこのまま行けば、
皐月賞でも1番人気に推される可能性も高い。
ただ
皐月賞に関しては、ここまで順調に来た
フサイチホウオーでも、乗り越えなければならないふたつのデータがあるのだ。
①父トニービン系皐月賞[0.0.1.7]
93年
ウイニングチケット1番人気5着
01年
ジャングルポケット2番人気3着
ダービー[2.1.0.8]
93年
ウイニングチケット1番人気1着
94年
エアダブリン4番人気2着
01年
ジャングルポケット1番人気1着
その後、
ダービーを制した
ウイニングチケット、
ジャングルポケットを持ってしても、
トニービンの系統は
皐月賞で連対がない……。
中山芝2000の
皐月賞は、トニービンの系統にとって
鬼門なのだ。
②共同通信杯勝ち(過去20年を対象)
90年
アイネスフウジン皐月賞 2着
ダービー 1着
94年
ナリタブライアン皐月賞 1着
ダービー 1着
01年
ジャングルポケット皐月賞 3着
ダービー 1着
過去20年の勝ち馬20頭中、
皐月賞で連対できたのは90年
アイネスフウジン(2着)、94年
ナリタブライアン(1着)の2頭のみ。しかも2頭は、
朝日杯を勝っているように、皐月賞前に
中山芝での経験があった。
フサイチホウオーがこの後、どういったローテーションで
皐月賞に挑むかは分からないが、ぶっつけ本番で中山芝2000に挑むようなら……死角なしとは言い切れない。
ただ、
フサイチホウオーが歴代の名馬たちと比較されるまでの存在となったのは確か。次世代のスター候補に対して、
死角という重箱の隅をつついてみたが、それくらいの向かい風を軽く跳ね退ける大物であってほしい。
皐月賞や
ダービー、
桜花賞や
オークスでもいい。それらが
共同通信杯を上回るような
父内国産馬によるドリームマッチともなれば、競馬ファンはきっと胸が踊ることだろう。