無尽蔵のスタミナ長者・トウカイトリックは、距離が延びるほどに末脚が切れる!?
文/編集部
昨秋以降、関東圏での長距離重賞は、
AR共和国杯(G2、芝2500m)→
ステイヤーズS(G2、芝3600m)→
ダイヤモンドS(G3、芝3400m)と行われている。
その3レースの結果はこうだ。
AR共和国杯1着
トウショウナイト2着
アイポッパー5着
トウカイトリックステイヤーズS1着
アイポッパー2着
トウカイトリックダイヤモンドS1着
トウカイトリックステイヤー重賞は、すっかり
『ところてん方式』で優勝馬が出ている。
トウショウナイトと
アイポッパーは、ともに
12度目の挑戦で重賞初制覇を収めた。今回の
トウカイトリックは
11度目。なんて似ているんだろう。
年齢も、5歳(
トウカイトリック)、6歳(
トウショウナイト)、7歳(
アイポッパー)ときれいに年子なので、これからは
「ステイヤー三兄弟」として売り出してみてはどうだろうか(笑)。
『諦めずに走り続ければ、きっといいことがある』みたいな曲で。作曲は
マッキーにお願いしよう。
レース後のインタビューで
ルメール騎手が語っていたが、今回の
トウカイトリックは後方に控え、直線勝負に賭ける戦法が採られた。
道中は
後方10番手あたり。キャリア20戦の中で、これほど後ろにいたことは2~3回しかなく、いずれも敗北を喫しているので、不安を覚えた。だが、今回は鋭く伸びてきた。
いや、
3400mの長丁場で、他馬がバテバテだったから、よく伸びたように見えたのだろう、と思う人がいるかもしれないが、上がり3Fのタイムを見てみれば違うことが分かる。レースの上がり3Fは
35秒1で、
トウカイトリックは
34秒5。これは
自身最速の上がり3Fなのだ。
マイル戦や
2000m戦でさえ、
34秒6までしか出していなかった馬が、
3400m戦で
34秒5を記録。例えるなら、
フルマラソンの記録が
4時間台だった人が、
トライアスロンをやったらマラソンで
3時間台が出ちゃったような感じ? どんだけのスタミナをしてるんだ(笑)。
でもそういえば、去年の
菊花賞を制した
ソングオブウインドも、それまで
34秒7が最速上がりだったのに、
芝3000mの長丁場で
33秒5の鬼脚を披露したっけ。
ダート1400mの
根岸Sでも、スタミナを問われる流れになって
ビッググラスが突っ込んできた。
エルコンドルパサーの産駒たちは、ちょっと想像を絶するポテンシャルを隠し持ってるなあ。ディープみたいにいつでも発揮するわけじゃなく、
遠山の金さんみたいに、いよいよの局面になって初めて出すっていう感じがあるけど(笑)。
ダイヤモンドSの勝者は、その後のG1で連対した馬がほとんどいず、過去20年では
イングランディーレだけとなっている。ジンクスを考えれば、
トウカイトリックの未来は決して楽ではなさそうだが、今の世の中、なにも国内に固執する必要もないだろう。
世界には
メルボルンC(芝3200m)や
愛セントレジャー(芝2800m)、
アスコット・ゴールドC(芝4000m)など、歴史ある長距離重賞が残されている。世界的に長距離戦線は手薄になっているから、G1に限らなければG2戦線でも、
桜吹雪を見せるチャンスは、世界中にあるはずだ(笑)。
次回、
「ステイヤー三兄弟」の邂逅はいつになるのだろう。
天皇賞・春が有力だが、
世界の舞台で見てみたい気もする。