父ノーザンダンサー系の好走に驚きを隠せない!?
文/編集部
突然だが、
きさらぎ賞の結果を受けて、
「ビックリ・ランキング」を発表すると以下の通り。
1位②着ナムラマースの上がり33秒92位父ノーザンダンサー系のワンツー3位オーシャンエイプスの敗戦まず、1位の
「②着ナムラマースの上がり33秒9」について。
ナムラマースは
芝1200から
芝1800に距離を延ばし、安定した成績を残してきた。
ただ、
きさらぎ賞までの
上がり3Fを順に見ると……。
未勝利①着35秒1↓
コスモス賞①着35秒8↓
札幌2歳S①着35秒1↓
ラジオNIKKEI杯2歳S③着35秒0ナムラマースはこれまで、
上がり35秒が自己ベストだったのだ。要因は、勝負所での反応が俊敏でなかったりする部分もあるだろうし、
チーフベアハート×フレンチグローリーという血統も多分に関係しているように思っていた。
だから、
札幌で連勝している時から気になっていたのが、
「京都で速い上がりの勝負になったら不安」だった。それが、ですよ。
きさらぎ賞ではスローペースがみえみえだったので、
「さすがに34秒台の脚は使ってくるかな」と思っていたら、その予想をはるかに上回る
33秒9!
レース自体は、
アサクサキングス&
武幸四郎騎手の絶妙な逃げに屈する結果となったが、2着といえども内容は濃い。まるで、
「このバッターは内角低めは打てない」と思ってたのに、そこへ投げたらスコーンと
ホームランを打たれちゃったような(笑)。
「ええ~!?」って気分でした。
ラジオNIKKEI杯2歳Sの
⑤着、
③着だった
アサクサキングスと
ナムラマースが、
きさらぎ賞で
①、②着ということは、
ラジオNIKKEI杯2歳Sの上位馬は明らかにトップクラス。そのことを証明する結果でもあった。
続いて、2位の
「父ノーザンダンサー系のワンツー」について。実は、過去10年の
きさらぎ賞において、
父ノーザンダンサー系はワンツーをしたことはなかったのだ。
1~3着となった30頭中でも、
父ノーザンダンサー系で馬券に絡んだのは97年②着
テイエムトップダン(父ダンシングブレーヴ)、99年③着
ケイアイジョン(父スリルショー)、05年①着
コンゴウリキシオー(父Stravinsky)、そして06年②着
メイショウサムソン(父オペラハウス)の4頭だけ。
それが、8頭立てとはいえ、①着
アサクサキングス(父ホワイトマズル)、②着
ナムラマース(父チーフベアハート)でワンツーとは!
オーシャンエイプスという飛び抜けた人気馬もいるし、さすがに厳しいかと思ったのだが。
ちなみに、昨年の
函館2歳Sからこの
きさらぎ賞まで、現3歳世代が走った重賞は16レースあったが、
父ノーザンダンサー系のワンツーは今回が初。
サンツェッペリン(父テンビー)が
京成杯を制したり、
ローレルゲレイロ(父キングヘイロー)が
朝日杯FSで②着したりと、要所要所では健闘を見せていたが。
アサクサキングスはこれで4戦3勝となったが、その3勝すべてで②着に
父ノーザンダンサー系を連れて来ていたりする。
父ノーザンダンサー系を引きつけるオーラでも発しているのかなあ。
最後に、3位の
「オーシャンエイプスの敗戦」について。実は
「可能性もなくはないな」と思っていたのだが、それが現実となってしまった。
新馬戦では持ったままで突き放していたので、追ったら思ったほど伸びない……という可能性だ。
ただ、
新馬戦は
きさらぎ賞と同じ
京都芝1800だったが、走破時計と上がりを比較すると、
新馬戦は
1分49秒8で上がり34秒3、
きさらぎ賞は
1分49秒4で上がり34秒4。つまり、
新馬戦と同じくらいは走っていたという計算が成り立つ。
見た目の印象は
「追って伸びなかった」となるが、他の馬がそれ以上に伸びたということだろう。血統的には距離は延びても問題はなさそうだが、
坂路で50秒台を出す脚力からすれば、距離はマイルあたりがベストなのかもしれない。
オーシャンエイプスに関しては、マスコミが
「ディープの再来」などと騒ぎすぎた面も否めない。
オーシャンエイプスに非がないのは当たり前だが、
「そう簡単にディープのような馬が現れるわけがない」と報道に懐疑的だったファンもいただろう。
オーシャンエイプスの
単勝1.3倍という人気には、
「ディープのようなスター」の再来を渇望する、焦りにも似た感覚が、マスコミにもファンにもあったように思う。
ターフを去ってなお影響を与えるディープは偉大なり、ということか。
とにかく今回、驚きを与えてくれた
父ノーザンダンサー系の2頭、
アサクサキングスと
ナムラマースには、
クラシック本番でも周囲の評価を覆すような走りを期待したい。それこそ、
きさらぎ賞②着から栄光の階段を駆け上っていった、父ノーザンダンサー系の先輩
メイショウサムソンのような活躍を。