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ジャングルポケットは偉大な“ちょい悪オヤジ”!?
文/編集部

直線、トーセンキャプテンローレルゲレイロが馬体を摺り合わせて大攻防。並んだら強い勝負根性を持った2頭の壮絶な叩き合いは、実に見応えがあった。

道中、トーホウラムセスが競りかける場面もあったが、マイネルレーニアが引っ張ったペースは前半1000m通過が58秒9。前後半の800mも47秒0-46秒9で、淀みなく速い流れだったことがわかる。

そんな中、好位3~4番手から渋太く抜け出したトーセンキャプテンローレルゲレイロは、3着マイネルレーニア以下に4馬身差をつけた。開幕週で前有利な馬場と見ても、2頭のマイルにおける実力は、現時点では他馬より一枚上だったということだろう。

結果、クビ差で内のトーセンキャプテンに凱歌が上がり、デビューから無傷の3連勝を達成。牝馬クラシックにはウオッカ牡馬クラシックにはトーセンキャプテン角居厩舎は本当にタレントの宝庫だ。

いやいや、ジャングルポケット角居厩舎に負けず劣らず素晴らしい。トーセンキャプテンフサイチホウオーに続き、ジャングルポケット産駒の2頭目の重賞ウイナーとなったが、初年度産駒からいきなりクラシックの有力候補を2頭も輩出したのだから。

その2頭に止まらず、タスカータソルテ(3戦2勝)やジョイザラス(2戦1勝)といったあたりも、この後、クラシック戦線に名乗り出て来ても不思議ない素材と見込んでいる。ジャングルポケット産駒も、なかなかどうして粒揃い。

トーセンキャプテンフサイチホウオー皐月賞に直行するようだが、そうなると皐月賞で、“ジャングルポケット産駒の無敗馬対決”が実現することになる。ジャンポケのファンには、正月がいっしょに来たような、夢のような話だ(笑)。

ただし、共同通信杯の稿でも触れた通り、父トニービン系皐月賞において、[0.0.1.7]と連対馬は出ていない……。お父さんのジャングルポケットが01年に3着となり、かろうじて馬券に絡んだだけ。

皐月賞におけるトーセンキャプテンフサイチホウオーについては、無敗馬対決にテンションを上げつつも、その一方で“オヤジ越え”がなるかどうかにも注目しておきたい。

それにしても、ジャングルポケットの仔から2歳時に重賞を2勝したフサイチホウオー、3歳冬にマイル重賞を制したトーセンキャプテンようなタイプが出るとは想像すらつかなった。

というのも、トニービン系の種牡馬にはウイニングチケットエアダブリンサクラチトセオーなどが名を連ねたが、競走実績に釣り合うような成果は挙げられずにいたわけである。

また、トニービンの系統は総体的に見れば、古馬になって開花するタイプが多い。つまり、クラシックを制するようなトニービン産駒は、完成が早いのではなく、未熟な完成度を飛び抜けていた能力で補完していたと考えられる。それを証明するように、トニービン産駒は重賞61勝中、2歳時はたったの1勝のみ。

ところが、その1勝というのは実は、札幌3歳S(00年)を制したジャングルポケット重賞を制した時期の早さ=能力の高さ、といった方程式は短絡的ではあるが、その意味では、ジャングルポケットトニービン産駒の最高傑作と見ることもできる。

ジャングルポケットは、トニービンの最良後継種牡馬というポジションに納まるべくして納まった。もちろん、その活躍の裏には繁殖牝馬の質も無関係ではないだろうが、父の能力なくして、トーセンキャプテンフサイチホウオーは出ない。

“オヤジ”ジャングルポケットは競走馬としても種牡馬しても、偉大ということでしょう。ヤンチャだった性格を加味すれば、“ちょい悪オヤジ”でもいい(笑)。ただ、その気性が良い方向で、競って強い勝負根性として子供に伝わっているんだろう、きっと。

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