4年経ってもまったく同じラップを刻んだローエングリンを、みんなで褒めてあげましょう
文/編集部
03年以来2度目の中山記念制覇となった
ローエングリン。03年と07年、その結果を見比べると、あまりに
“ソックリさん”が多いので、驚いてしまう。
・馬番がソックリさん!03年も今回も、同じ馬番2番枠だった。中山記念は00年に現在の施行時期に移行されたが、馬場状態のいい開幕週で内を通れる有利さは言わずもがな。
好枠を引き当てたことが2度目の優勝につながったのは間違いないだろう。
ローエングリンは04年にもこのレースを走って
3着となっているが、その時は
大外15番枠だった。そして、その時の1&2着は
馬番1番の
サクラプレジデントと
馬番2番の
サイドワインダーだった。
冬のこの時期に、芝生の生育がいいはずはない。それでも、この開催の開幕週でも内ラチ沿いの馬場が良好なのは、正月からの1回中山開催で
Bコースや
Cコースを使われ、内側を保護されているから。
03年は東京競馬場改修工事のため、正月から4月の皐月賞まで、ずっと中山開催だったが、
1回中山が
Bコース、
2回中山が
Cコース、そして
ローエングリンが逃げ切った
3回中山が
Aコースだった。
今年は
1回中山が
Cコースで、今回が
Aコース。そりゃ、内枠が有利だよなあ……。
・騎手がソックリさん!これは別人って意味じゃありません(笑)。03年も今回も、鞍上は同じ後藤騎手だった。近年は
追い込みに脚質転換を図っていた
ローエングリンだが、
後藤騎手騎乗時は圧倒的に逃げるパターンが多かった。それが裏目に出ることもあったわけだが、1年8ヶ月ぶりに騎乗チャンスが巡ってきた今回は、
後藤騎手も期するモノがあったのだろう。
今回の
ローエングリンは、非常に落ち着いて逃げていたように見えた。これは、後方に控える形で競馬を重ねた効果もあったに違いない。
近走の訓練と、
人一倍の思いで臨んだ後藤騎手との相乗効果が、今回はあったのではないだろうか。
・ラップがソックリさん!前半1000mの通過ラップが、03年が59秒5で、今回も59秒5だった。今回の1000m通過ラップは、速報段階では59秒4と発表されたが、正式には
59秒5に変更。結局、
03年とまったく同じタイムだった。
03年はそこから
11.8-
11.8-
11.9-
12.6で逃げ切り、
今年は
11.7-
11.7-
11.4-
12.9だった。
03年が
重馬場で、今年が
良馬場と、馬場の違いがありながら、ラップはほぼ一緒。1000m通過がまったく同じで、上がり4Fが
48秒1(03年)と
47秒7(07年)なのだから、もちろんフィニッシュタイムも酷似している(
1分47秒6と
1分47秒2)。
同じように逃げて、同じようにゴールを駆け抜けたからか、
2着馬との着差もソックリさんだった。03年が
1馬身4分の3差で、今年が
1馬身4分の1差。
ちなみに、偶然とは恐ろしいもので、2着の馬番はどちらも
9番。03年の2着
バランスオブゲームは馬体重
478kgで、今年の2着
エアシェイディは
480kgだった。
これだけソックリな状況が揃う中、もっとも異なったことは、
ローエングリンの
人気だろう。03年当時は
1番人気で、その単勝オッズは
1.8倍。
勝って当然と思われるような存在だった。
それが今年は
6番人気で、単勝オッズが
17.0倍。でも、それも仕方のないことだろう、4年の月日が過ぎ、
ローエングリンは
4歳から
8歳となったのだから。
4年という歳月の重みは、
オリンピックを思い出してみれば容易だろう。人間でさえ、4年間もトップレベルの力を維持するのは大変なこと。ましてや、それが、長寿記録が
30代という馬の話なのだから……。
ところがどっこい、
ローエングリンは衰えるどころか、まったく同じラップを踏んで軽快に走り去った。むしろ
4年前より状態は良くなってる!?と思わせられるほど。もし、
ローエングリンが口を利けるなら、レース後のインタビューで、
「今回は自分で自分を褒めてあげたいです」と言ってたかもしれないな(笑)。
JRA平地重賞勝利の最高齢記録は、
ゲイリーフラッシュ(02年シルクロードS)と
アサカディフィート(07年小倉大賞典)が持つ
9歳。
障害戦では、
カラジ(06年中山グランドジャンプ)の
11歳という記録もある。来年、
9歳となっている
ローエングリンはどうしていることだろう? もしかして、4年後の
12歳でも内ラチ沿いを走ってたりして!?(笑)