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桜花賞の後も、西山場長へのお祝いの電話は、牧場にすることになるのかもしれない
取材・文/村本浩平

恥ずかしながら齢34にして、グリーンチャンネルに出させていただくことになった。

『RIDE ON 22』という番組内での「馬の国から」というコーナーなのだが、実を言うとまだ自分の出ている姿が恥ずかしくて見ていない(笑)。見た方は正直な感想をください………。

とコーナーの宣伝をしているのではなく、このコーナーのロケで、阪神JFを優勝し、昨年の2歳牝馬チャンピオンに輝いたウオッカの故郷であるカントリー牧場に訪問させてもらった。

つい先日は『全部見せます中央競馬2006』の取材で“ライター”として足を運んだばかりだというのに、今回はカメラマンや音声さんを引き連れて“キャスター”としての訪問。きっと牧場スタッフの方は面食らったと思うが、それでも不慣れなキャスターに対して、実に親切に対応していただいた。

カントリー牧場西山貴司場長とは、タニノギムレットダービーを制した時に取材をさせていただき、それ以降も、何かとお話をさせてもらうようになっていた。

だからなのか、『全部見せます中央競馬2006』の取材でお会いした時も久しぶりという気がしなかったし、西山場長も取材という肩肘張った内容ではない話を聞かせてくれた。

『全部見せます中央競馬2006』にも書いたことだが、西山場長は町内の行事もあって阪神JFを見に行っていない。確勝が期待されたエルフィンSの時にも、レース後に電話をかけたところ、電話に出てきたのが西山さんで、思わず「レースを見に行ってなかったんですか?」と聞き返してしまった。

西山さん「こっちで仕事もありましたし、僕が行かなくても勝てばいいですよ」と話してくる。

これで桜花賞制覇も見えてきましたね、と聞いて景気のいい答えを求めるも、「まだまだ本番までには強い馬が出てきますから…」と慎重な姿勢を貫いてくる。

そう思うとこのチューリップ賞は、プレ桜花賞と言うべき強豪馬たちがずらりと揃った。

ウオッカの最大のライバルが、牡馬相手に互角以上のレースを繰り広げてきたダイワメジャーの半妹ダイワスカーレット。前走の紅梅賞を快勝してきたローブデコルテも、阪神JFのリベンジを誓う。その他にも桜花賞馬アローキャリーの娘アロープラネット、近親に東京スポーツ杯3歳Sの勝ち馬タガノテイオーがいるタガノグラマラスなど、クラシックに向けて良化を続けていく血統馬の名前が並ぶ。

揃ったスタートとなったが、スローペースを折り合いながら先頭でレースを進めていくダイワスカーレットに対し、エルフィンSと同様に行きたがる素振りを見せたウオッカは、首を激しく横に振るなど口向きの悪さも見せる。しかし、直線を向いてからの強さが違った。

相手はウオッカ一頭と決めていた安藤勝己騎手は、外からやってきたダイワスカーレットに並びかけ、ウオッカに騎乗した四位騎手も、その併せ馬に応じてみせる。

2頭のマッチレースとなった残り300m。内を行くダイワスカーレットと外を行くウオッカとでは行き脚だけでなく、安藤勝己騎手四位騎手アクションも違った。着差はクビ差ながら、その差以上の力の違いウオッカは見せつけた。

レース後、再びカントリー牧場に電話をかける。重賞ぐらいは見に行かれているよなと思いきや、また電話に出てきたのは西山場長だった。

「勝ったとは言えども着差がクビ差ですからね。やっぱりダイワさんの馬は強いですよ。それに本番は枠順もありますし、どんなレースをしてくれるかですよね」と、こちらの誘導尋問の前から慎重なコメントを話してくる。

さすがに桜花賞は阪神競馬場に行かれますよね、と聞くと、「お産もありますし、その日は育成の場長に競馬場へは行ってもらおうと思います」という予想外の答えが返ってきた。

でもこれもまた、今まで自分がレースを見に行っていないので、げんを担ごうという西山場長なりの考えなのかもしれない。となると、桜花賞の後に僕は「おめでとうございます」との電話を、カントリー牧場にいる西山場長にかけることとなるのかもしれない。

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