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出走馬は移り変わっても、弥生賞は弥生賞
文/編集部

人気を背負った有力馬が、概ね期待通りに上位にやって来る。毎年、弥生賞が来るたびに、「今年こそ波乱にならないものか!?」と、馬や過去のデータのあら探しをするのだが、ことごとく跳ね返される。

紛れやすい小回りの中山芝2000で行われ、時期的にも初対決が多くて実力の比較が難しいはずなのに。弥生賞はどうしてこんなに平穏な決着に終わるのか。分からない……ねえ、どうしてですか!?(笑)

今年はアドマイヤオーラ1.7倍という圧倒的1番人気に支持されたが、ココナッツパンチの追撃を抑えて快勝。1.7倍という単勝オッズも、レース前に「ちょっと被りすぎでは!?」と疑ってみたって、レースが終われば正しい評価に早変わりする。

確かに、アドマイヤオーラのレースぶりは、単勝1.7倍の評価に相応しいモノだったと思う。前にサムライタイガースを見ながら、その背後にはココナッツパンチドリームジャーニーメイショウレガーロタスカータソルテと有力馬がズラリ。

有力馬から徹底マークされながら、前半1000m通過59秒8の流れを好位から強気に押し切り。武豊騎手のレース運びからは「来るなら来い!」「前哨戦でこの競馬をして勝てないようなら、本番での勝利もあり得ない!」といった、皐月賞を見据えた決意が伝わってきた。

武豊騎手[6.4.0.2]という弥生賞の鬼。過去にも何度も、本番を見据えた競馬を弥生賞で実践してきたが、騎乗馬の能力を量り、引き出し、そして結果も出す。この3つをすべてクリアすることがいかに難しいことか。

そんな天才・武豊騎手を持ってしても、連対を外してしまったケースが2回あった(03年ザッツザプレンティ6着、04年グレイトジャーニー7着)。その2頭が自分のPOG馬だったことを考えると、切なさがこみ上げる(笑)。

アグネスタキオン弥生賞を制してから早6年。息子のアドマイヤオーラが勝利したことで、弥生賞史上初となる親子制覇が達成された。

01年は日曜の弥生賞アグネスタキオン、土曜のチューリップ賞テイエムオーシャンというクラシックの本命馬が出るというので、時間の融通が利く大学生の特権を最大限に活かし、両方レースを生で観戦するという計画を実行した。

結果、テイエムオーシャン4馬身差アグネスタキオン5馬身差の圧勝を飾り、大満足のトライアル行脚となった。あの年の弥生賞は8頭立てで、そのうち5頭がサンデーサイレンス産駒だったが、同産駒が掲示板を独占するという……そんな珍事もあったなあ。

それだけに、非常に印象深い弥生賞だったが、その時の4着がマンハッタンカフェだった。今年、アグネスタキオン産駒アドマイヤオーラが1着、マンハッタンカフェ産駒ココナッツパンチメイショウレガーロが2着と4着。また、7着に終わったタスカータソルテも、アグネスタキオンマンハッタンカフェと同世代のジャングルポケットの息子である。

クラシック本番弥生賞以上にそうなるだろうが、最強世代(だと思っている)の息子たちがクラシックに向けて鎬を削るというのはなんとも感慨深い。競馬の仕事に従事していると、時の流れの早さに呆然とする瞬間があるが、あれからもう6年も経つとは……。

だが、時は流れて、出走馬はからへ移り変わっても、今年も、01年と変わらない弥生賞があった。平穏な決着はいったいいつまで続くのか。波乱の結末はいつ訪れるのか。その変わり目を見るまでは、競馬はやめらない! そんな大げさなことでもない気がするけど(笑)。

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