G1 2勝馬と同等の期待に応えたアストンマーチャンに敬意を表したい
文/編集部
1着は
アストンマーチャンで鉄板、素質馬を揃えた
アグネスタキオン産駒の3頭のうち、どれかが2、3着に来る。
きっと、前日の
アネモネSで
アグネスタキオン産駒が1~3着を独占した印象が強かったせいだろう。馬券を買う際に、
アグネスタキオン産駒が1頭も馬券に絡まないという事態は想定できなかった。
結果は
シュガーヴァイン6着、
ルミナスハーバー7着、
ニシノマナムスメ8着。
アグネスタキオン産駒の3頭はみな、直線で伸びあぐね、
掲示板外という……。
後方でもがく有力馬を尻目に、
単勝172.6倍の10番人気だった
アマノチェリーランが、2番手から粘り通して2着を確保した。
エルフィンS3着という戦績から、
ハギノルチェーレの3着は想定の範囲内。だが、
アマノチェリーランは
重賞初挑戦に加え、
ロスの多い外枠ではさすがに厳しいと思って完全にノーマーク……。
想定外の連続では、馬券など当たるどころかカスリもせず。自分の無力さを痛感する結果となった。終わってみれば、
予想が短絡的すぎたと反省する部分もあるのだが、そんな拙い予想にも(笑)、きちんと応えてくれたのは
アストンマーチャンだった。
阪神JFでは、
ウオッカのクビ差2着でタイム差なし。
芝1400mでは、
ファンタジーSで
レコードの圧勝。鞍上は
天才・武豊騎手。相手筆頭と目された
ルミナスハーバーは完調になく、
ニシノマナムスメは
エルフィンSで
ウオッカに完敗。
総合的に見ても、
アストンマーチャンの
単勝1.1倍という圧倒的な支持は、やむを得ないといったところだろう。だが、重賞で単勝1.1倍の馬が勝つという状況は、そうそうお目にかかれるものではない。
過去20年でも、
単勝1.1倍の馬が(平地)重賞を制したケースはわずか15回。
1年に1回、あるかどうかという希少さだ。その15回を下記に記してみたのでご覧ください。
87年ローズSマックスビューティ
田原成貴
90年京都大賞典スーパークリーク
武豊91年京都大賞典メジロマックイーン
武豊95年きさらぎ賞スキーキャプテン
武豊95年阪神大賞典ナリタブライアン
南井克巳
97年京成杯3歳Sグラスワンダー
的場均
01年日経賞メイショウドトウ
安田康彦
02年秋華賞ファインモーション
武豊05年ダービーディープインパクト
武豊05年ユニコーンSカネヒキリ
武豊05年神戸新聞杯ディープインパクト
武豊05年菊花賞ディープインパクト
武豊06年阪神大賞典ディープインパクト
武豊06年天皇賞・春ディープインパクト
武豊06年宝塚記念ディープインパクト
武豊すでにお気づきの方もいると思うが、15回のうち、11回は
武豊騎手という。これまで、どれだけのプレッシャーをはね除けてきたのだろう。こちらは
結婚式で挨拶するというだけで、心臓が破裂しそうだというのに(笑)。
だが、いちばんエライのはもちろん
アストンマーチャンである。レースぶりも完全なる横綱相撲。好位に控え、3~4コーナーでジワッとポジションを上げ、直線で
アマノチェリーランを涼しげに交わし去るという。
着差は
2馬身半差ながら、能力の違いは歴然。それは誰の目にも明らかだろう。
単勝1.1倍で重賞を制した牝馬は、前記した中では
マックスビューティと
ファインモーションだけ。いずれも
G1 2勝馬と考えると、単純比較では
アストンマーチャンはそれと同等の評価を得たことになる。
ウオッカは確かに強い。ひとつ年上なのではないかと疑ってしまうほどに(笑)。
アストンマーチャンは
阪神JFで
ウオッカとクビ差の接戦を演じたとはいえ、
1600mは守備範囲のレベルでベストではない。ベストは
芝1200~1400mだろう。
その意味では、
ウオッカや
ダイワスカーレットと
芝1600mの桜花賞で戦うことは、厳しい結果が待っているかもしれない。
だが、今回の
フィリーズレビューで
アストンマーチャンが
単勝1.1倍という支持を受けた背景には、高い素質を持つ馬が揃った今年の牝馬クラシック戦線に対する、期待感の現れでもあるように思う。
実力馬が
トライアルをきっちりと勝ち、
G1という舞台で鎬を削る。
牝馬クラシック戦線では、すべてがうまく運ばないものだが、今年は実力馬がほぼ順当に本番を迎えるまでに至った。
その期待に、
完勝というかたちで応えた
アストンマーチャンには敬意を表したい。期待感でいっぱいに膨らんだ風船を、
桜花賞本番まで破裂させることなく運んでくれたのだから。
頂上対決、
桜花賞が本当に楽しみになった。できれば本番では、馬券をしっかり当てて祝杯を上げたいところ。
馬券の結果は想定内、
レース内容は想像以上であらんことを(笑)。