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ユキノサンライズのような個性派強豪馬に成長してほしい
文/関口隆哉

二の脚付いたショウナンタレントが果敢にハナを奪い、第1コーナーへと突っ込んでいく。キストゥヘヴン(桜花賞)、シーザリオ(オークス)、ダンスインザムード(桜花賞)と、近3年の勝ち馬が、いずれもクラシックウイナーに輝いた注目の一戦、フラワーCは、単勝2.4倍の1番人気馬がレースを作ることになった。

5F通過61秒0というスローペース。好位に付けたイチゴイチエホットファッションが競りかけてこなかったことも手伝って、ショウナンタレントは、理想的展開でレースを進めていく。

4角手前から、後方グループにいた4番人気トウカイファイン、6番人気ホクレレらが外からマクリ気味に上昇してきたが、余裕タップリに先頭を走るショウナンタレントとの差は、まだまだ大きい。

直線に入り、2番人気アルビアンも位置していた好位勢が、揃って失速。独走状態となったショウナンタレントは、残り100mの段階で、勝利を確実なものとする。

ゴール前では、末脚を伸ばしてきたホクレレに1馬身半差まで詰め寄られたが、ほぼ楽勝で、ショウナンタレントは初の重賞タイトルを獲得した。

ショウナンタレントが示した軽快なスピードは、なかなか優秀なものだったし、この日の相手であれば、地力が一枚違ったことも間違いのないところだと思う。

ただし、器の大きさを見せつける、迫力満点の走りを示したシーザリオダンスインザムード、超一級品の切れ味を発揮したキストゥヘヴンといった近年の勝ち馬たちと比べると、ショウナンタレントのレースぶりが、かなり小粒に感じられたのも事実だった。

ハイペースが予想され、ウオッカダイワスカーレットといった実力馬が好位からプレッシャーをかけてくるであろう桜花賞で、ショウナンタレントフラワーCと同じようなレースをするのは、相当に難しいことだと思う。

フラワーC馬ショウナンタレントに今後期待したいのは、4年連続のクラシックホース誕生というのではなく、1990年フラワーCを、やはり逃げ切って勝利したユキノサンライズのような個性派強豪馬に成長することだ。

桜花賞では14着に大敗したユキノサンライズだが、古馬になり中山牝馬S中山記念と、いずれも中山芝1800m戦で行なわれた重賞を鮮やかに逃げ切って連覇を飾った。

豊かな先行力コーナーワークの巧みさを十二分に活かせるコースである、中山1800m戦のスペシャリスト。まさしくショウナンタレントは、ユキノサンライズの跡を継げる資質の持ち主なのだ。

出走メンバーが高レベルとは言い難いフラワーCではあったが、桜花賞オークスで面白そうなのが2着に入ったホクレレ。これで5戦1勝2着4回の戦績となったが、こういうタイプはどんなメンバー構成でも、それなりの走りが可能となる。3連複、3連単の穴候補として、ちょっと買い足しておきたい。

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