フライングアップルの可能性だけは否定しない
文/編集部
東京スポーツ杯2歳S1着フサイチホウオー
2着
フライングアップル3着ドリームジャーニー
朝日杯FS1着ドリームジャーニー
2着ローレルゲレイロ
3着オースミダイドウ
4着
フライングアップル共同通信杯1着フサイチホウオー
2着ダイレクトキャッチ
3着
フライングアップルスプリングS1着
フライングアップル2着マイネルシーガル
3着エーシンピーシー
挑戦4度目にして、待望の
重賞初制覇を飾った
フライングアップル。デビューから堅実な走りを見せる反面、
勝ち味に遅いというレッテルを貼られてはいたが、鮮やかな後方一気で差し切り勝ちを決めた。
勝ち味に遅い。確かに、重賞での着順だけを切り取ればそうなるだろう。ただ上記した通り、相手は
フサイチホウオーや
ドリームジャーニーといった世代トップクラスの面々。
フサイチホウオーとは、
東京スポーツ杯2歳Sと
共同通信杯で
0秒1差。
ドリームジャーニーとは、
朝日杯FSで
0秒3差。
スプリングS以前の重賞では、決め手で勝る2頭の後塵を拝することとなったが、よく走っていた。
ただ、今年のクラシックは牝馬戦線にも同じくことが言えるが、実力の序列、上位馬のピラミッドがわりと明確のような気がする。実際、
スプリングSは
朝日杯FSで4着だった
フライングアップルが1着、6着だった
マイネルシーガルが2着。
フサイチホウオーも
ドリームジャーニーもいないレースでなら、
フライングアップルや
マイネルシーガルがところてん方式に上位に来る結果となっても、驚きはしない。
今回の着順から相対的な比較でいえば、
フライングアップルと
マイネルシーガルに敗れた3着
エーシンピーシー以下は、
クラシック争いから脱落したと見るのもあさはかではないだろう。
レース内容もまたしかり。最後方待機から内目を突き、ロスなく立ち回った
横山典弘騎手の巧みな手綱捌きで、
フライングアップルが鮮やかな差し切りを決めたが、その上がりはメンバー中最速とはいえ、
35秒8。走破時計は前日の
フラワーCのそれ(
1分49秒6)と
0秒6しか違わない。
フライングアップルが
“斬れた”というよりは、他馬が
“斬れなかった”だけ。だから、勝ち方は鮮やかであっても、パフォーマンスとしては少々物足りなさが残る。
2着
マイネルシーガルも、2番手からの競馬だったとはいえ、直線で手応えほど弾けなかった理由は、
距離があるように思えてならない。
2000mの
皐月賞で、
スプリングS以上のレースぶりを期待するのは酷かもしれない。
02年スプリングS1着の
タニノギムレットは
皐月賞3着、
NHKマイルC3着、
ダービー1着。
03年1着の
ネオユニヴァースは
皐月賞、
ダービーで二冠を達成。2着だった
サクラプレジデントも、
皐月賞で2着となった。
昨年も、1着の
メイショウサムソンが
二冠馬となり、3着の
ドリームパスポートが
皐月賞2着、
ダービー3着と好走を見せた。
近年の
スプリングSからはクラシック好走馬が多数出ていたし、99~06年まで8年連続で16頭立てのフルゲートだった。その比較から言っても、今年の
スプリングSに関しては期待感は薄く、出走馬に対して少々手厳しい意見がどうしても先に浮かんでしまう。
ただ、
フライングアップルに関しては、昨年のクラシック戦線における
ドリームパスポートに似ていなくもない、という見方もあったりする。
相手なりに走り、常に堅実という点で言えばだが。
自分の中で、
「クラシックのレベルを測る上での物差し的存在」という認識に変化はないが、
フライングアップルが
皐月賞において、
ドリームパスポートのような好走を見せる可能性だけは否定しないでおこう。